森野きりりの漂流日記

容姿もダメ頭もよくない、おまけに性格も悪いと自分を否定することしかしなかった女の子が、人生の荒波の中で「いやいや何も取り柄がなくても大丈夫さー」ということに気が付いていく長い長いお話です

2023-01-01から1年間の記事一覧

鴨が教えてくれること

極寒の寒さが二、三日続いた。 ウォーキングをしているとザックザックと凍った音がする。 むかしは寒いのなんてちっとも応えなかった… 冬の初めのころ鴨の姿を見かけて、人間の日常とは関係なく季節は巡ってる と思っていたのに、いつの間にか鴨が消えていた…

夕焼け

新聞を片付けていたら ”伊集院静さんを悼む” という記事に出くわした。 忙しくて新聞を読む余裕がない日常の中でのこと。 それも書いているのはあの桐野夏生。 作品も怖いし強い意志を感じる眼力は思わず目を伏せたくなる。 中途半端に生きている…とじぶんが…

朝焼け

今日は仕事が休みなので、いつもより一時間遅いウォーキングになった。 朝の景色がぜんぜん違う。 転ばないように足元を確かめながら歩かなくてもいい。 川に出ると東の空がオレンジに染まっていた。 (きれいだなー!) 雲がお陽さまに急かされるように流れ…

それなりの珈琲

お湯を沸かして、コーヒーカップを温める。 ケトルはもう二十年以上前に買ったもの。 珈琲用だから注ぎ口が細くて、容量も一リットルしか入らない。 家庭の台所で使うにはちょっと不便だけど、 (まっいいかー…) で使ってきた。 豆をフィルターに一杯分入れ…

ドラマ”ガラパゴス”

最近は刑事ドラマに飢えている。 刑事ドラマのいいところは、一時間で事件を解決してくれること。 たまに解決しないこともあるけど、それはそれで (あれー…) (まっ…いいか…) (来週の楽しみにとっておこうー) 変化のない日々でも指折り数えて過ごすこと…

珈琲ブレイク

ブラックコーヒーに目覚めたのは二十代のころ。 コーヒーは好きだったけどそれまで飲んでいたコーヒーは砂糖とミルクをたっぷり入れた甘い甘いやつ。 「美味しいコーヒー飲みに行こう」 と誘われても、甘いコーヒーでとっても満足していたわたしは (ふーん……

ラベンダー

家に帰って玄関のドアを開けようとして (うん…?) うしろを振り向いた。 … いつもと変わらない。 視線の先には姉から株分けしてもらったラベンダー。 「株分けするとなぜか枯れてしまうのよねー」 と姉が言っていたのを思い出す。 じっと見ていると (あれ…

一茶と大知

日が昇るのがだんだん遅くなってきた。 けれど毎朝のウォーキングは続く。 朝の六時過ぎ。 あと一ヶ月もすれば真っ暗な中を歩くことになるだろう。 だからって (やめとこうかー) ってことにはならないよ。 元気に過ごすためには継続こそ大切。 ところが…で…

えっ!こんなんだったか!?

『三国志』一巻を読み終えた。 七百ページ余り。なんか若い時に読んだ『三国志』とぜんぜん違う気がする! 『三国志』はいろんな人が書いているので、 (むかし読んだのは吉川英治じゃなかったのかしらん…) ……… よーく考えてみたけど、やっぱり吉川英治だ。…

反対側には違う真実が

もう十一月だというのに、暖かい日が続いている。 陽気に誘われてコンビニまでぶらぶら歩いて行った。 帰り道、川の向う岸からわが家を眺めた。 (あらー…) オリーブの木はニ階の窓に届いてる… 貝塚(実はカイヅカイブキって言うんだって!)は上にも横にも…

朝の六時過ぎ。 ウォーキングに出ようと玄関を出て空を見上げた。 白い空に浮かんでいたのは、空よりもさらに白い月だった。 ぽっかりと淋しい月が浮かんでいた。 昨夜は漆黒の空を圧倒するような見事な月。 すがりつきたいわたしを突き放すように煌々と光を…

どこもかしこも駐車場

初めて聞いたとき 「なーに?この歌」 と思った。 なのに耳に残った歌詞とメロディー。 どこもかしこも駐車場…どこもかしこも駐車場… これですもん。一度聞いただけですっかり覚えてしまった。 それ以来、運転していると無意識に口ずさんでいる。 どこもかし…

銀杏枯れ葉

神社の階段を上がると目の前に広がる銀杏の実。 それを避けながら朝のウォーキングは続く。 季節は深い秋へと突入していく。 朝も早いのに、時どき銀杏の実を拾っているひとに遭遇した。 (わたしも昼間の 暖かい時間に銀杏を拾いに来よう…) (いやいや、ウ…

パリピこうのう

向井理に興味はなかった。 爽やかなイケメン。頭も良さそう。 向井理を嫌いという人はあまりいないんじゃないか…と思う。 だけど、なんでかな…。いろんなドラマに出ているけど見てない。 それが変わった。 『パリピ孔明』面白い! 水曜日の夜が待ち遠しくな…

幸雲街道

爽やか! 青い! 吸いこまれる! 雲だらけ! 昨日の空を見て思いついたのは、こんなありきたりのことば。 あの空の素晴らしさをそのままカメラに収める力がわたしにあるならば… と思うけど、残念ながら、無理… だけど、わたしは空に向かってシャッターを押し…

秋の庭から

水引が満開だ。 小さな小さな花なのにうったえてくるエネルギーがすごい。 見つめたままいつまでも目を逸らせない…と、いう感じ。 なぜこんなに惹かれるのかな… 今年の夏は暑かった。 ようやく涼しい風を感じてホッとしているけど、今年が特別ではなくて来年…

パーティピープル

秋のドラマが始まった。 映画館に足繁く通っていた頃と違い、家でおとなしくしていられるテレビドラマは とてもありがたい。 ヴィバンが終わり、はやぶさ消防団も終わり拍子抜けした気分を一掃してくれるのは サテ… 見ればきっと楽しいドラマも、タイトルや…

イーサン・ハントがいる!

『ミッション・インポッシブルデットデコニングPART ONE』 のお話し。(えっ!今ごろ?) 公開の七月二十一日は、まず肩ならしでざっと通した。 (さて、いよいよ中身を楽しみますよ) 八月になって二回目を見に行った。 ふぅぅ… トム・クルーズにはやっぱり…

秋桜(コスモス)

あっという間に秋の色が濃くなり、頭を垂れていた稲もいつの間にか刈られてしまった。 稲刈りがすんだ田んぼはもうそれだけで秋の気配。 一番端っこは休耕田(きゅうこうでん)にしているのか… 雑草の合間から見えるのはコスモスだなぁと思っていたら花が咲…

謎のリングも疲れたか

朝のウォーキングを再開した。 ”はい!これが正解ね” って答えは出ないけど、腰弱女のわたしにはジワリジワリと成果が出ている(と、信じたい…) 夏から秋に移行するもっとも過ごしやすい季節。 昼間の暑さが(今年はどうしたことだろう…もうすぐ十月だよ…)…

夏が終わり…秋

今年のブルーベリーの頑張りはすごかった。 熟れて落ちた実から新たな芽が出ていると思っていたら、いつの間にかあちらにもこちらにも枝を蔓延らせ(はびこらせ)大きな木になった! そんなブルーベリーを下からしみじみ眺めた。 収穫の時期を終えて、剪定さ…

自分らしく生きたい

仕事中ふっと顔をあげると、氷川きよしがさわやかな笑顔でこちらを見ていた。 ずっと若い頃の氷川きよし。 懐かしの演歌の番組の録画のようだ。 (いつの時代だよ…) と思うような古い映像を、若い職員さんが時々こうして流してくれる。 歌が流れると一気に…

日傘のおじさん

信号待ちしていると、時々見かける男の人が前を横切った。 ウォーキングの最中だな。 初めて見かけたのはずいぶん前のこと。 勝手に自分のほうが年下だと思っていたら (あれ!わたしの方が年上じゃん…) ということが増えた。 とっても増えた。 いつのころ…

原因不明の胸の痛みと親子の共通点

朝の六時。 庭で草取りをしていると 「一緒に行くー?」 息子が声をかけてきた。 「いくよー」 帽子を被ると急いであとを追った。 ところが 家を出てすぐ異変が… 長いこと忘れていた胃のところからせり上がってくるような痛み… (お茶を持ってくればよかった…

遠い日のカンナ

ひとりで川の横を歩いていた。 田んぼのあぜ道に真っ赤な花が咲いているのが見えた。 (カンナだ…) 遠目にもわかる強烈な色。 その日から川の横を歩くときは吸い寄せられるようにカンナを見つめた。 (枯れないうちに撮っておこう…) 歩く度にそう思うのに…

銀杏小径(ぎんなんこみち)

朝がずいぶん涼しくなってきたので、また息子と歩きだした。 暗いうちから庭の片隅で草取りをしていると、 「一緒に行く?」 と息子が聞く。 あたまから吹き出るような汗が嫌で断っていた。 昼間は相変わらず暑いけど、朝早いうちは爽やかな風が吹く。 (歩…

三つ子の魂

孫が帰ってきた。 玄関から洗面所に一直線。 足台の椅子に上がると、蛇口を全開にして手をのばした。 安定の悪い椅子が心配だけど、だまって見守る。 ハンドソープをワンプッシュ。 手のひらを合わせて泡を全体に広げた。 指と指を交差させて洗い始めた。 そ…

流れ星 ☆彡

外はまだ暗い。 時計を見ると四時前。 起きるには早いけど、目が覚めてしまった。 コロナ感染で仕事には行けない。 起きるのに、早いも遅いもないのだった。 昼も夜もボーッと寝て過ごしていることを思い出してひとりで笑った。 窓をそーっと開けてみる。 漆…

夏が終わる

思いもかけなかった新型コロナの感染。 倦怠感と発熱で四日間起き上がれなかった。 一時 (おっ!楽になった…) と思う瞬間があって (やれやれ…なんとか軽く済みそう…) 胸をなでおろした次の日、ぶり返した。 倦怠感は最初よりひどく、熱は39度と38度のあ…

わかってるつもりで見えてない

抗原検査はもう何回やったか憶えていない。 最初の頃は、鼻に突っ込む綿棒がくすぐったくてクシャミばかりしていた。 検査薬の中に綿棒を入れて鼻の中の粘液をしごき出すと、テストカセットにスポイドでポトリポトリと落としていく。 ピンクの線がゆっくり上…