森野きりりの漂流日記

容姿もダメ頭もよくない、おまけに性格も悪いと自分を否定することしかしなかった女の子が、人生の荒波の中で「いやいや何も取り柄がなくても大丈夫さー」ということに気が付いていく長い長いお話です

夕焼け

 

新聞を片付けていたら

伊集院静さんを悼む”

という記事に出くわした。

忙しくて新聞を読む余裕がない日常の中でのこと。

それも書いているのはあの桐野夏生

 

作品も怖いし強い意志を感じる眼力は思わず目を伏せたくなる。

中途半端に生きている…とじぶんが嫌になるようなそんな思いにさせる作家。

”OUT”を読んで以降、憑かれたように桐野夏生を読みあさっていた時期があった。

どれも面白くて怖かった。

だんだん歳を重ねていくうちに、読む意欲が薄れていって最近は全然読んでいない。

図書館の本棚で手が止まっても、そのまま素通りするようになった。

 

何年か前ペンクラブの会長になったという記事を見て

(さすがだな…)

と思った記憶がある。

その桐野夏生が追悼文を書いていた。

 

イメージと違う伊集院静さんがいた。

思いやりを惜しまない人、本物の優しさがあると書かれていた。

(やっぱりね…)

あの桐野夏生にそんなふうに言わせるところがね。

 

すると今度はユーミンが追悼コメントを出しているじゃないか。

ユーミンのコンサートにもかかわっていたんだ!

(やっぱりただの毒舌おじさんじゃない)

心配になるくらい毒舌なのが気持ちよくて好きだったけど。

 

大ファンだった訳でもないのに、ずっとこころに重しのように存在しているのに驚いている。

(もう本は買わない。図書館で読むのだ)

と決めたわたしに、本を買わせたところをみれば

(やっぱり伊集院静の大ファンのだったということか?)

 

朝焼けの中に面影を見つけ、夕焼けの中に去りゆく姿を見送るこの何日か…