森野きりりの漂流日記

容姿もダメ頭もよくない、おまけに性格も悪いと自分を否定することしかしなかった女の子が、人生の荒波の中で「いやいや何も取り柄がなくても大丈夫さー」ということに気が付いていく長い長いお話です

春は怖い

ウォーキングしていて、何かを感じてフッと立ち止まってしまうことがある。 何だろう… 足を止めてまわりを見回して考える。 押し寄せてくる春の息吹なのかな… その勢いにたじろいでしまうのかな… 色とりどりに咲き誇る花々に笑顔になるけど、その反面漠然と…

記憶が抜け落ちていく

わが家は母と三姉妹。女が四人。 家の中に男は父一人だけ。 一人でも存在感は半端じゃない。 父の靴が玄関にあるとそれだけでシュンとなった。 (多分わたしだけ…) 姉と妹はどうだったのか知らない。 幸いなことに仕事と自分の趣味に没頭している父は、家を…

のどすっきり飴さん頼みます

今年はのどの調子が悪い。 ここ何年かそうなんだけど、特に悪い。 いつもいつものどに違和感を感じて 「えへん!えへん!」 まるで”えへん虫おじさん” コロナはずいぶん収束した気はするけど、街なかをみればあの人もこの人も未だにマスクをつけて歩いている…

いわためき(以和為貴)

父がロッキングチェアに座って揺れている。 そのうしろに ”以和為貴” と書かれた額縁。 ずっと”いわためき”と読んでいた。 意味はわからない。 ずいぶん大きくなって ”わをもってとうとしとなす” と読むのだと知った。 ”わ”って”和”のこと? うーん… 父と和…

春爛漫(はるらんまん)が過ぎていく

今年は 地震が多い! 花や木の成長が去年より遅い。 去年の今頃はブルーベリーの花が満開だった。 「さてさて、そろそろ咲きましょうかね…」 おもむろに緑の間からうすいピンクの花がしゃしゃり出てきた。 毎年わくわく期待の無花果。 プレッシャーを与えな…

ハッピー・バースデイ・トゥ・ミー

はぁ…… (今日もきつかった…) ロッカー室に向かっているとうしろから声をかけられた。 応援でシフトに入っているスタッフさんの誕生日なので 「お祝いにショートケーキを食べよう!」 (…ここの職場はそんな慣習があるのか…) (ケーキが食べれるならラッキ…

ちいさなはるらんまん

外に出ると光が押し寄せてくる。 まぶしい春の陽射し。 次々に咲く花、道端の雑草… 八百屋さんの店先では 「とびきり美味しいよ!早く買ってー」」 と合馬の筍が流し目で呼んでいるこの季節。 国産の筍は値段が高くて (もう少し安くならないかしら…) と迷…

存在してるのに見えてない

朝、神社の階段を降りていると足元に椿の花がたくさん転がっていた。 見上げても欝蒼(うっそう)と茂る緑ばかり。 赤い色は見えない。 (花はどこ…) 昼下がり、信号待ちでぼんやり空を見ていた。 雲一つない青空。 じーっと見ていると… ぼんやりと白いもの…

はるらんまん

朝晩は冷えるけど、ウォーキングにはちょうどいい季節。 一日の目標は八千歩。 多いときは一万五千歩を超えることもある。 そのおかげか腰痛は軽くなった。 咲き乱れる花々に目を奪われるけど、ただ花粉症がね… むかし、急性蓄膿症で怒涛の治療をしたあと、…

うちで観てもすごい!

かつて 映画は映画館で観るものだと決めていた。 家だと映画に集中できない。 「昼間の誰もいない時間に観ればいいじゃん」 「セールスが来ても居ないふりすれば…」 (それはそうなんだけど…) ところがこの歳になるとそうも言ってられない。 若かった頃のよ…

マーヴェリックにまた会える!

つい何ヶ月か前のことのように感じるのに… 何度も映画館に足を運んだのはもう二年前のことだ。 月日が流れるのは…うーん、速い… あれからいろんなことがあった。 一日一日を悔いのないように過ごせているだろうか… ……… そうそう… 今日はマーヴェリックのはな…

問題はそれ?!…

玄関のドアがガタギシになったのはいつからだろう… 閉めようとすると…抵抗するんですよ。 ガタガタガタ、ギシギシギシ 引っ張っても閉まらないから 「ふんぐぅぅー…」 と、力をこめる。 ガッシャーン…大きな音をたてて閉まる。 (だれか直せる人いないかなぁ…

春が翔(か)ける

二、三日前まで川には子ガモの姿があった。 いつも三羽ではしゃいでいるのが微笑ましかった。 … 今日は姿が見えない。 親鴨も離れたところでのんびり泳いでいたのに、どこを見渡しても姿がない。 あっ! ぽつんと一羽… 朝から冷たい雨が降っていた。 北へ帰…

春が来てた!!

今日はなんだかとても疲れた。 仕事はいつもにくらべて楽だった。 なのに… 駐車場をとぼとぼ歩いて車まで行った。 運転席に座って (さてと…) さてと…って考えなきゃいけないことがあったわけじゃない。 と、いう事に気がついて仕方なくエンジンをかけた。 …

医学の進歩 Part2

頭が重い… ティッシュペーパーに手を伸ばすと勢いよく鼻をかんだ。 読みかけの本に視線を戻す。 それから何秒もしないうちに、また手を伸ばした… 屑かごがティッシュペーパーで溢れている… どうやら無意識に鼻をかみ続けていたらしい。 最近二、三ページも読…

医学の進歩

営業さんがくれたショートケーキを隠してロッカー室に急いだ… 一つ年上の先輩と顔を見合わせ、笑顔で大口をあけた。 次の瞬間!! …… あれ!口が動かない… ケーキを握りしめ、涙目で先輩を見つめた… 1971年 顎(あご)が外れた。。。 それからというもの、あ…

寒椿(かんつばき)

朝、外に出てみると空気が冷たい! (さすがに2月は寒いわ…) 車のフロントガラスは霜で真っ白。 ……と、思いきや昼間の暖かさは朝とは一変。 上着を脱いでも汗ばみそう。 寒い朝の椿を撮ったつもりが、なんだか生ぬるい椿に見えてきた。 ぼんやり眺めるわた…

謎のリングの正体…

朝六時、玄関のドアを開けた息子が振り返って 「どうする?」 と聞いた。 肩越しに外を覗くと、静かな雨が降っていた。 静かでしっかりとした雨。 「歩こう!」 いろいろ考えずに結論を先に言った。 というわけで傘を片手にウォーキングに出た。 朝六時の空…

クリスマスローズ

畑でほうれん草を収穫していると、視線の先に何やら白いものが… 葉っぱをかき分けてみると クリスマスローズ!! が咲いていた! 花も野菜も旬がいつかわからないわたしは (今ってクリスマスローズが咲く季節なのか…) 見つめたまま考える。 勇み足だったり…

祈り

日本中に雪が舞っている。 わたしが住んでいる町も、能登も… 天気予報で雪だと言ってたけど、こんなに降るとは思ってなかった。 せめて春が来るまで石川に新潟に…雪や雨が降りませんように… テレビを見つめて祈ることくらいしかできない。 (いや…募金があっ…

気になる?気にならない?

新聞を読んでいたら、気になる記事。 誰かと一緒に食事をしてる時、ご飯粒や野菜が少し残っているのを見ると気になるけど、どう思う?って。 若いひとでもそんなこと思うんだね。(そりゃそうか!) … 実はわたしもすごく気になる。 「最後の一粒までちゃん…

しあわせの情景 Part4

日曜日の昼下がり…(日曜日もわたしは仕事) 仕事だけど三時くらいには帰れるだろう… 家に戻ってみると、息子がひとり寝転んでテレビを観ていた。 (あー疲れた~) って言ったつもりが 「珈琲入れようか?…」 なんて言ってしまってる。 「あっ、お願いしま…

蝋梅のリベンジ

空があまりにも青かったから思わず庭に出た。 ウゥ…風の冷たさが身にしみる。 それにしても青いなあ… 青が身体中に染み渡ったところで庭に目をやると… つい何日か前、蝋梅(ろうばい)の花が満開になっているのを見て感動したけど、今日は更に美しい。 思わ…

どこのコーヒーが好き?

十年ほど前のこと 「意外と美味しいんですよ」 と誘われて初めてセブンのコーヒーを飲んだ。 コンビニコーヒーデビューはセブンだった。 「思ってたより美味しいねー」 (ふーん…これが百円で飲めるなら…) その日をきっかけにセブンを見かけるとつい駐車場…

蝋梅(ろうばい)

たまには爽やかな風を入れてあげようと思いついて、滅多に開けない南側の窓を全開にした。 目に飛び込んできたのは思いもかけない黄色の輝き! 蝋梅の花だ! かつて蝋梅を老梅と書くのだと思っていたわたしは (さみしい気持ちになるよ…) 寒い今の季節に咲…

ことばのちから

何という年明けだろう! 元旦の夕方四時過ぎ、テレビを見ながら食事をしていた。 ”地震速報” のテロップに箸を止めた。 「震度五強だって…」 「正月早々いやだね…」 その数分後震度七…の文字。 テレビを凝視したまま熊本を襲った地震のことが頭をよぎった。 …

新年あけまして

今日は元旦。 大晦日は明け方までtverを見ていたので、いつもの時間には起きなかった。 本当かどうかは分からないけど、睡眠時間が少なすぎると何かと問題があるらしい… ということで、用心のためベッドの中でダラダラ過ごしていたのだ。 八時になってようや…

年の瀬

眠れなくて夜遅くまでtverでドラマを見て、明け方うとうと…としたときに母の夢を見た。 若くて元気な母と年相応なわたしという不思議な取り合わせ。 笑顔の母の横で幸せそうなわたしの顔。 母は一年前の十二月に旅立った。 そのころはまだコロナで会えない日…

鴨が教えてくれること

極寒の寒さが二、三日続いた。 ウォーキングをしているとザックザックと凍った音がする。 むかしは寒いのなんてちっとも応えなかった… 冬の初めのころ鴨の姿を見かけて、人間の日常とは関係なく季節は巡ってる と思っていたのに、いつの間にか鴨が消えていた…

夕焼け

新聞を片付けていたら ”伊集院静さんを悼む” という記事に出くわした。 忙しくて新聞を読む余裕がない日常の中でのこと。 それも書いているのはあの桐野夏生。 作品も怖いし強い意志を感じる眼力は思わず目を伏せたくなる。 中途半端に生きている…とじぶんが…