森野きりりの漂流日記

容姿もダメ頭もよくない、おまけに性格も悪いと自分を否定することしかしなかった女の子が、人生の荒波の中で「いやいや何も取り柄がなくても大丈夫さー」ということに気が付いていく長い長いお話です

2021-09-01から1ヶ月間の記事一覧

こちら現場です!

今日は水曜日。カレーを作る日だ。 急いで整骨院に行って、ささーっと帰ってくると早速玉ねぎを切り始めた。 (今日の玉ねぎは固いな!) いつもは、気にしないそんなことを考えながら、黙々と玉ねぎのみじん切り。 お店で五キロ入りの玉ねぎが二種類並んで…

敬老の日を受け入れる日

ピンポーン! 玄関でチャイムが鳴っている。 そのへんに置いてあるマスクをつかむと玄関に急いだ。 地区の公民館長さんが笑顔で立っていた。 「今日は敬老の日のお祝いを持ってきました」 「それはそれは、ありがとうございます」 わたしも笑顔で応対する。 …

公害じゃなくて香害?

香害に苦しんでいる人がいると新聞の記事で読んだ。 香害…? 何かで目にしたことはあるかも知れないけど、はっきりとその言葉を認識したのは初めて。記事によると香害がきっかけで『化学物質過敏症』という名前の病気を発症するひとが増えているらしい。 香…

ジリジリ太陽の下、旗を振る女の子

腰の具合は相変わらずです。いい時もあり悪いときもある。 どんなに気をつけても調子が悪いときは、毎日整骨院に行きたい。一日置きでもいい。 ところがね、それが簡単ではない。 歳をとると頭で考えてることが、すぐに行動に移せないのが大きな理由。 整骨…

『早くしなさいおばけ』『もうなんでおばけ』

むかしむかし、こども達が幼稚園に通っていた頃のこと。 我が家には 『早くしなさいおばけ』 というおばけがいた。 そのおばけは夜ではなく、朝出てくる。 「早くご飯食べなさい」 「早く歯を磨きなさい」 「早く洋服を着替えなさい」 「早く靴を履きなさい…

「わたしは阿蘇で生まれましたとよ。あなたは?」

母が施設に入ってあっという間に一年半が過ぎた。 荷物をまとめて、小さな引っ越しをしたのを昨日のことのように思い出す。 「今日から、ここのベッドで寝てね」 と言うと、 「うん、わかった」 拍子抜けするくらいにあっさりと答える母。 「家じゃないのに…

歳をとっても未熟者

お隣さんに回覧板を持っていったときのこと。 あいにく留守だったので、玄関ドアの前に回覧板を立て掛けてそのまま帰った。 次の日 (気がついてくれたかなー) 門扉の陰からそっと覗いた。見えない。 (まっ、いいかー) 帰りかけて、もう一度覗いた。 ふと…