森野きりりの漂流日記

容姿もダメ頭もよくない、おまけに性格も悪いと自分を否定することしかしなかった女の子が、人生の荒波の中で「いやいや何も取り柄がなくても大丈夫さー」ということに気が付いていく長い長いお話です

ラベンダー

 

家に帰って玄関のドアを開けようとして

(うん…?)

うしろを振り向いた。

いつもと変わらない。

 

視線の先には姉から株分けしてもらったラベンダー。

「株分けするとなぜか枯れてしまうのよねー」

と姉が言っていたのを思い出す。

 

じっと見ていると

(あれっ!つぼみがついてる!)

 

ラベンダーの花って夏に咲くんじゃなかったっけ?

剪定のお約束ごとなんて関係なくチョンチョン切ってしまうせいで、わが家の庭はなかなか見ごたえがない(トホホ…)

 

冬の風が吹き始めたけど…

季節まちがえてないよね?

 

姉が亡くなって五年が過ぎた。

ラベンダーを見つめていると

「忘れないでね」

と言ってる気がした。

 

忘れないよ…

こころの中でつぶやいた。