森野きりりの漂流日記

容姿もダメ頭もよくない、おまけに性格も悪いと自分を否定することしかしなかった女の子が、人生の荒波の中で「いやいや何も取り柄がなくても大丈夫さー」ということに気が付いていく長い長いお話です

原因不明の胸の痛みと親子の共通点

 

朝の六時。

庭で草取りをしていると

「一緒に行くー?」

息子が声をかけてきた。

「いくよー」

帽子を被ると急いであとを追った。

 

ところが

家を出てすぐ異変が…

長いこと忘れていた胃のところからせり上がってくるような痛み…

(お茶を持ってくればよかったなー)

(すぐに治まるといいんだけど…)

ずんずん歩く息子に、言いそびれてしまった。

 

歩いているうちに痛みが増してきた。

(もう少し痛くなったら、引き返そう…)

前を歩く息子は、わたしの異変には気がついていない。

 

「あっ!魚が飛んだ!」

息子が叫んだ。

川の真ん中あたりで元気な魚が水面をピョンピョン飛んでいる。

 

「ほんと!元気な魚だねー」

うわの空で答えながら空を見上げた。

うろこ雲が空一面を覆っていた。

 

胸の痛みが起きる時ってきっとストレスいっぱいなのだ。

うろこ雲に癒してもらおう…

ひたすら雲を見つめて歩いた。



以前、痛みの原因を調べようといろんな病院に行った。

だけど、結局分からずじまい。

妹も同じような症状をかかえていたのをずいぶん後に知った。

そして、息子も胸の痛みを時々うったえる。

わたしと同じように、いくつかの病院で診てもらったけど原因はわからない。

病名はつかないけど何かしら親子で体質の共通点があるのだろう。

 

川を過ぎる頃やっと痛みが治まってきた。

(よかった…)

 

次に痛みが起きたとき、ひとつ選択肢が増えた。

お茶をゆっくり飲む。

プラス空を見上げて深呼吸しよう!

そしたら広がる雲たちがじんわりと癒してくれるんじゃなかろうか。

 

いや、癒してくれると決めればいいのだ。

だから、そう決める!!

 

  (2021.6.14 原因不明の胸の痛みと姉妹の共通点)