森野きりりの漂流日記

容姿もダメ頭もよくない、おまけに性格も悪いと自分を否定することしかしなかった女の子が、人生の荒波の中で「いやいや何も取り柄がなくても大丈夫さー」ということに気が付いていく長い長いお話です

朝焼け

 

今日は仕事が休みなので、いつもより一時間遅いウォーキングになった。

朝の景色がぜんぜん違う。

転ばないように足元を確かめながら歩かなくてもいい。

川に出ると東の空がオレンジに染まっていた。

(きれいだなー!)

雲がお陽さまに急かされるように流れていた。

 

思わず立ち止まった。

眩しいオレンジを見つめていると三日前に亡くなった伊集院静さんの顔が浮かんだ。

つい何年か前くも膜下出血で倒れた時は、手術で回復したらしいことを知って安心したのを憶えている。

十月に作家活動を休止するというニュースを目にして、ちょっと気にはなっていた。

 

大ファンというわけではない。

わたしは辛口の作家が好きなので、痛快なのがいいんだと思う。

華やかなイメージをまとい、凛とした強さと共に哀しみを感じさせる作家。

無頼派とみえるその裏で実に真っ当な人。

”ひとりで生きる”

は、図書館で借りたのではなく最近では珍しく買ってきてわが家の本棚にある。

断捨離でたくさん処分している最中(さなか)に買った本だ。

 

本を膝においてじっと見つめた。

寂しい…

同じ歳だからというわけでもないだろうけどとても寂しい。