森野きりりの漂流日記

容姿もダメ頭もよくない、おまけに性格も悪いと自分を否定することしかしなかった女の子が、人生の荒波の中で「いやいや何も取り柄がなくても大丈夫さー」ということに気が付いていく長い長いお話です

自分らしく生きたい

 

仕事中ふっと顔をあげると、氷川きよしがさわやかな笑顔でこちらを見ていた。

ずっと若い頃の氷川きよし

懐かしの演歌の番組の録画のようだ。

 

(いつの時代だよ…)

と思うような古い映像を、若い職員さんが時々こうして流してくれる。

歌が流れると一気に昔がよみがえり、こころがジュワッと温かくなるのは施設のお年寄りの表情をみていればわかる。

わたしも

(なつかしいー…)

と嬉しくなる年寄りの端くれ。

 

デビューして間もない、初々しい氷川きよし

このところ弱気なわたしは涙が出そうになりながら画面を見つめた。

 

力強いこぶしまわし。あんなにこぶしが利いているのに、自然で伸びのある声。

切なさに上を見上げて天守閣を探し求めてしまう『白雲の城』

あの魂を揺さぶるような演歌を聞ける機会はもうないのかな…

 

今活動しているのか、休止しているのかも知らない。

自分らしく生きたいとテレビから姿を消してどのくらい経ったっけ。

 

自分らしく解放されて生きているのならいいね。

だれにもそれを邪魔する権利はないものね。

 

 

ただわたしは、むかしのあの姿であの声で歌う

『白雲の城』

が聞きたい…

それだけ…

 

  (2022.1.27 自分らしく生きたい)