森野きりりの漂流日記

容姿もダメ頭もよくない、おまけに性格も悪いと自分を否定することしかしなかった女の子が、人生の荒波の中で「いやいや何も取り柄がなくても大丈夫さー」ということに気が付いていく長い長いお話です

秋桜(コスモス)

あっという間に秋の色が濃くなり、頭を垂れていた稲もいつの間にか刈られてしまった。

稲刈りがすんだ田んぼはもうそれだけで秋の気配。

 

一番端っこは休耕田(きゅうこうでん)にしているのか…

雑草の合間から見えるのはコスモスだなぁと思っていたら花が咲き始めた。

何年か前は見事なコスモス畑だった。

最近は雑草の中にコスモスが遠慮がちに咲いているという感じ。

それでも、花が咲けば見入ってしまうのは可憐なコスモスの求心力だね。

 

今朝、いつものようにコスモスを横目に歩いていると、女の人が箱を片手に花びらを摘んでいた。

しばらく眺めながら歩いていたけど、好奇心が抑えられない。

「何をしているんですか?」

振り返った女の人は

「押し花を作るので、畑の持ち主にお願いして摘ませてもらっているんですよー」

(へー…コスモスが押し花になるんだ…)

 

秋になるとコスモスを見に遠路はるばる見に行っていたのは何年前になるだろう…

片道何時間もかけて行ったものだ。

時にはホテルを予約して、泊りがけのことも…

 

 

歳をとり長い道中を運転していくことはなくなった。

季節はテレビの中で中継される映像で感じることができる。

「見たいなら連れて行くよー」

(とってもありがたいけど…)

躊躇してしまう、この歳のわたし。

 

「コスモス祭りで押し花を展示するので、是非見に来てくださいね」

むかし見たコスモスをぼんやり思い浮かべていると、声をかけられた。

どこに行くにも

(行こうか…止めとこうか…)

と、すっかり消極的なこのごろのわたし。

 

コスモスの季節だから、コスモスにパワーをいただこうか…

うん、それがいい。

そうしよう…

「はい、見に行きます!」

言ってしまうと、ちょっと元気が出た。