森野きりりの漂流日記

容姿もダメ頭もよくない、おまけに性格も悪いと自分を否定することしかしなかった女の子が、人生の荒波の中で「いやいや何も取り柄がなくても大丈夫さー」ということに気が付いていく長い長いお話です

2021-01-01から1年間の記事一覧

柿とミカンと姉

毎年秋になると田舎で一人暮らしをしている祖父から、ダンボールいっぱいの柿が送られてきた。柿が届くと母が丁寧にお礼の手紙を書いていたのを思い出す。 学校から帰った姉が、嬉しそうに両手いっぱいに抱えて自分の机に運び込む。 机の柿が空っぽになると…

還暦のごほうび

若かったころは、還暦と聞くとものすごく年寄りの人だと思いこんでいた。 (還暦になってお祝いされる日なんて、わたしには来ないかも…) そんなことはなかった。シングルマザーになって二十年数年があっという間に過ぎ、他人事だと思っていた還暦がわたしに…

月の誘惑『月光浴』

1998年、姉と二人で写真展を見に行った。 その時、なぜその写真展を見に行くことになったのかは憶えていない。 姉から誘われたのか、新聞か何かで見かけてわたしのほうから誘ったのか… エレベーターを降り会場の前に着いた。暗くて中がよく見えない。 ド…

新宿コマと黄桜

年賀状を書く時期になると、メールしたくなるのがゆみちゃん。 東京で仕事をしていたときの同僚だったゆみちゃんは頭の回転が早くて辛口のコメントが小気味いい女子。 出会ったのはゆみちゃんが二十五歳で私は二つ下の二十三歳。 地方から出てきたわたしと違…

初めてのダンスパーティ!

社会人になって最初の夏が終わろうとしていたときの話。 いつもの朝、電車を待っていたわたしは掲示板に貼ってあるポスターを見つめていた。 「今年のクリスマスは、華麗にダンスを踊りませんか?」 というような内容だった。ような…って。あまりにも遠い記…

ふわふわしっかり絶品卵焼き

かれこれ二十五年くらい前になるかなー。 遠くに住んでいた妹のところへ遊びに行ったときのこと。 こどものころはそんな片鱗は見せなかったのに、いつの間にか妹は料理がとても上手になっていた。 そのときも、わたしのために美味しい料理でもてなしてくれた…

恐怖映画の効能とサングラス

むかしは、これでもかって怖い映画がたくさんあったよね。 最近はテレビで予告とかしていないから分からないけど、わたしが知らないだけで、今でもあるのかなあ。 若いころ、ものすごく怒ったときや、ものすごく悲しいことがあると怖い映画を見に行った。 見…

ホラーから恋愛小説へ『美しい時間』

『墓地を見おろす家』で小池真理子を知ったけど、ホラー小説に興味があるわけではなかった。見えない何かに引き寄せられて手に取ってしまった本が、たまたまホラーだったというわけ。 図書館に行って小池真理子のコーナーに並んでいる本を眺めてみる。 ホラ…

小池真理子が見せてくれたホラー

本屋さんでブラブラと物見していたときのこと。 いつもは絶対に手をのばさないのに、何故か手にしてしまった本を見つめる。 『墓地を見おろす家』 買う決心はついていないのに、なぜか本を持ってレジに向かった。 読む決心はついていないのに、財布をバッグ…

安物買いのセーターと毛玉取り

昨年はコロナ禍で見送ったけれど、毎年暮れが近くなると、仲良し四人(昔の仕事仲間)で忘年会をするのが年末の楽しみ。 年齢はバラバラ。わたしが七十代目前(七十代って本当に驚いてしまう。いつの間になったんやねん!)五十代になったばかりの二人と、四…

学問、芸能、掃除…?

姉妹三人。 それぞれ得意分野がある。姉は学問、妹は芸能、わたしは…掃除。そう!わたしは掃除大臣! 姉は父の期待を一身にうけて、昼も夜も机に向かっていた。どうしたらあんなに長い時間勉強ができるんだろう。わたしと妹は父が諦めているのをいいことに、…

グレイヘアになる覚悟

「髪を染めるのをやめようと思うの」 親しい友人のことばに、ついに来たかー!と思った。 グレイヘアということばが何かと話題になりだしたのは三、四年前くらい前だったろうか。著名人や芸能人が次々にグレイヘアに変身した姿を見せ始めていた。テレビで見…

お母さん、わたしはあなたの娘です

施設に入っている母に久しぶりに会いに行った。 職員さんに両手を引かれた母が、ドアの向こうから現れた。前回会ったときよりまた一段と小さくなっていた。 「ほら、今日は嬉しい人が会いに来ていますよ」 マスクを無理やりさせられ (母はもうマスクが何の…

姉妹げんかも大事なコミュニケーション

むかしむかしの話。 父は結婚した娘たちが実家に集まる週末をとても楽しみにしていた。どのくらい楽しみにしていたかというと、毎週末宴会をしておもてなしをするくらい。 料理はいつも姉と妹が作った。母とわたしは何やら仕事をしているふりで、そのへんを…

11 原因不明の胸の痛みと姉妹の共通点

昼下がりの平和な時間。 誰にも邪魔をされずに、窓際で本を読んでいた。 ふと、のどの奥にかすかな違和感! 「えへん!」 「おほん!」 と、小さな咳ばらいをする。 目は活字を追いながら、ジガーッとのど全体に広がっていく違和感に気が付かないふりをしよ…

手作りカレーわが家のレシピ

たまに嫌いというひとがいるけど、カレーは大抵のひとが好きな食べ物だよね。以前勤めていた職場の若いお兄さんは 「カレーは飲み物!」 なんて叫んでいた。 「飲み物って、どういうこと?」 「美味しくてスルスルーってのどを通っていくということですよ!…

竹林を見あげてメンマで妄想

朝起きると、窓から空を見上げる。 (雨は降ってないな。よしよし!) 着替えると早速ウォーキングに出発。 川沿いを歩いて、その先の橋を渡ると神社に着く。 最初に六十段の石段が待っている。見上げてもひるんだりしないよ。ここまでと同じ速度でタッタッ…

風邪?「龍角散ののどすっきり飴」がすごいよ

「のどが痛い。風邪ひいたかなぁ」 と、浮かない顔をしていた息子が病院に行くと言っている。 「えっ!病院に行くの?」 病院に行くほど酷いようには見えないので思わず聞いた。 世の中は”新型コロナウイルス”で大変なことになっている。熱が出ないうちに、…

ウォーキングの朝、鴨の家族にほのぼの

毎日続けていると、いつの間にか結果がついてくるよね。 青息吐息で始まったウォーキングは、呼吸をするのと同じくらいに出来るようになった。 旅行にでも行かない限りウォーキングは朝と決めている。 (コロナ禍の今、旅行もおあずけだけど) 仕事に行く前…

腰痛と整骨院でのアドバイス そしてウォーキング

ずっと腰痛と一緒に生きてきた。 まだ、二十代の頃、あまりに痛くて大学病院の整形外科を受診したら 「もともと骨の形が変形しているので、腰痛からは逃れられないでしょう」 と言われた。母に言ったら 「ごめんね!」 と謝られた。責めるつもりじゃなかった…

跳ねる銀鱗!イワシが踊る

魚をよく食べる人は認知症を発するリスクが低いとニュースで言っている。青魚に含まれるEPAやらDHAやらビタミン12それから、それからなんかいろんな成分が脳にいいらしい。 じゃあ!わたしも魚食べなくちゃ。 ここ最近のじぶんの記憶力に自信がない…

母の話しになるといつの間にか笑顔になる

ある日のこと 妹がぶらりとやって来た。 「じゃがいもの芽が出てきたよ。猫除けの黒いやつ(名前は知らない)を外してあげないと、出てきたじゃがいもが全部網に引っかかって持っていかれるよ」 毎回来るたびに指南してもらうけど、野菜作りはほんとうに苦手…

毎朝届けてくださってありがとうございます

新聞を読みたいけど洗濯物も気になる。大急ぎで洗濯機を回してテラスに出てみると爽やかな日差し。 「あー!気持ちいいー」 洗濯物を干すのは数ある家事の中で一番好き。干し始めると家族が 「手伝うよー」 「大丈夫。わたしがやるよー」 「いやいや手伝うよ…

花と野菜と…本と珈琲

日曜日のある日。 珈琲を飲みながら本を読んでいた。 フッと目を上げると、庭の花がわたしに笑いかけている(んなわけないか!) 冬には冬の花ががんばって咲いてくれるけど、やっぱり春になると華やかさが違うね。咲き誇る花をじーっと眺めているのもいいし…

はじめまして!わたしの名前はきりり

はじめまして!わたしの名前はきりり はるか遠い未来と思っていた七十代にあっという間になった! 働き盛りの四十代五十代が過ぎて還暦を迎えたとき 「なーんだ!還暦って騒いだけど、これまでと何も変わらないわー」 と、思ったのは三年ほど。それを過ぎる…