本屋さんでブラブラと物見していたときのこと。
いつもは絶対に手をのばさないのに、何故か手にしてしまった本を見つめる。
『墓地を見おろす家』
買う決心はついていないのに、なぜか本を持ってレジに向かった。
読む決心はついていないのに、財布をバッグから取り出した。
店員さんがじっとわたしの手を見つめている。
仕方がないからお金を払って車に戻ると、寄り道せずにまっすぐに家に帰った。
本を開く。
無言。
没頭…
優れた作家さんてこういう人なんだろうな。有無を言わさず読ませてしまった!
気味が悪い!
気味が悪い!
と思いながら、あっという間に読んでしまった本を眺める。
結末は
(そうなったかー)
という印象だけど、最初のページを開いたところから怒涛のように読ませるその勢いがすごい。
小池真理子ってこれほどの文才があるのに、そのうえ女優のように美しい。その頭の中で作られる物語にただただ圧倒される。
車で街中を走っているとき、映画を観ているとき、ポツンと建っている高層のマンションが現れると必ずこの本を思い浮かべてしまう。
ホラー小説に初めて出会った記念の本です。
この本を目にしたおかげで小池真理子に出会うことができました。