森野きりりの漂流日記

容姿もダメ頭もよくない、おまけに性格も悪いと自分を否定することしかしなかった女の子が、人生の荒波の中で「いやいや何も取り柄がなくても大丈夫さー」ということに気が付いていく長い長いお話です

春が怖い…

 

咲き乱れる花をじーっと見ていると

不安な気持ちにならない?

 

何か起こりそう…

それも吉兆(きっちょう)ではなくよくないことが…

 

「木の芽時は気をつけないとね」

と、むかしのひとが言っていた。

そう、木の芽時は自律神経が不安定になってしまうんだ。

だから

感覚をだらけさせて、気がつかないふりがいちばん。

 

記憶が抜け落ちても消えてはいない過去。

思い出したくないことも春の光は白日のもとにさらしてしまいそう…

だから春はこころが落ち着かない。

怖いと思ってしまうのかな。

 

だけど

それは花や木々のエネルギーにあおられて、こころが作り出している幻想なのかもしれない。

不安なこころを持て余してもわたしはこうして生きている。

春の勢いに負けそうになっても、春が怖いと思うことはあっても

天をめざす木を見上げることができる。

だったらいいじゃないか…

だったらいいんだよ…

 

 

庭ではサクランボが

「もうそろそろ摘みどきですよ」

とわたしに笑いかけながら天をめざしている。