森野きりりの漂流日記

容姿もダメ頭もよくない、おまけに性格も悪いと自分を否定することしかしなかった女の子が、人生の荒波の中で「いやいや何も取り柄がなくても大丈夫さー」ということに気が付いていく長い長いお話です

蝋梅のリベンジ

 

空があまりにも青かったから思わず庭に出た。

ウゥ…風の冷たさが身にしみる。

それにしても青いなあ…

 

 

青が身体中に染み渡ったところで庭に目をやると…

つい何日か前、蝋梅(ろうばい)の花が満開になっているのを見て感動したけど、今日は更に美しい。

思わず部屋にカメラ(携帯だよ)を取りに戻った。

「この間の写真ははひどかった」

「もっと綺麗に撮ってね」

蝋梅が言ってる気がした…

 

 

花を眺めているうちにいつの間にかぼんやりしていた。

 

仕事は楽しい。それは何度職場が変わってもどんな仕事をしても同じ。

楽しくないのは老化。

いろんな耐用年数がそろそろ限界に近づいているからね…

ところが…

 

先日の仕事中のこと。

「きりりさん、これ出来るんですよね?」

振り向くとそろばん(!?)をはじく仕草。

わたしより二、三十歳以上は若いであろう上司がそろばんの仕草をしたのがおかしくて

「そろばんできますよ(笑)でも今は電卓ですよね…」

「そうそう!電卓。よかったー!じゃあお願いしたい仕事があるんですけど」

 

思いもかけない話。

”棚からぼた餅”の気分!

蝋梅を老梅(さみしい…)と勘違いして、わたしのようだと僻んでいたけれど、人生はどこにチャンスが転がっているかわからない!

今更わたしに出来るだろうか…と不安はあるけれど、(気持ち新たにじゃなくて)頭新たに頑張ってみよう。

 

 

長いこと離れていた仕事だから簡単に軌道に乗れるとは思わない。

「ファイト!」

応援するかのように黄色の花びらが風に揺れる。