森野きりりの漂流日記

容姿もダメ頭もよくない、おまけに性格も悪いと自分を否定することしかしなかった女の子が、人生の荒波の中で「いやいや何も取り柄がなくても大丈夫さー」ということに気が付いていく長い長いお話です

医学の進歩 Part2

 

頭が重い…

ティッシュペーパーに手を伸ばすと勢いよく鼻をかんだ。

読みかけの本に視線を戻す。

それから何秒もしないうちに、また手を伸ばした…

 

屑かごがティッシュペーパーで溢れている…

どうやら無意識に鼻をかみ続けていたらしい。

 

最近二、三ページも読むとすぐに本を閉じてしまう。

(歳をとったから集中力が続かない…)

と思い込んでいたけど…

そうなのか?

 

鼻かみはだんだん激しくなり、頭が重いのは一日中になり、屑かごはいつもティッシュペーパーであふれている。

 

この情景…って

記憶にあるぞ…



1983年(ころだった…)

何か変…

身体中の水分が鼻に大集結したように、かんでもかんでも湧いてくる鼻水。

市立病院の耳鼻科に駆け込んだ。

蓄膿症と言われて驚いているわたしに、更に

「手術しますか?」

「手術したら完全に治りますか?」

「再発しないとは断言できませんが…」

(再発するかもしれないのに、そんなこわい手術しないわ…)

「いやです。手術はしません!」

 

それから怒涛の治療!

土曜日も日曜日も処置できるように計らってもらって、来る日も来る日も病院通い。

車の免許はまだ持ってなかったので自転車をとばして通った。

「あなたみたいな患者も珍しい!」

半年ほどたってきれいな鼻になったわたしに、担当の先生が笑いながら言った。

 

今わたしの体に起こっているのは、まさにあのときの症状だ。

また病院通いをしないといけないのか…

(はぁ…)

 

耳鼻科にネット予約して行ってみた。

診察はほんの何秒か。

パソコンの画面を見つめたまま

「薬出しときますから、一週間後もう一度診せて」

(それだけ?…)

 

一週間薬を飲んだら…

治った!

 

今の時代、せっせせっせと通わなくても蓄膿症は治るのか!

またもや医学の進歩を実感した瞬間!だった。

(大げさか!)