十年ほど前のこと
「意外と美味しいんですよ」
と誘われて初めてセブンのコーヒーを飲んだ。
コンビニコーヒーデビューはセブンだった。
「思ってたより美味しいねー」
(ふーん…これが百円で飲めるなら…)
その日をきっかけにセブンを見かけるとつい駐車場に入るようになった。
お湯を沸かしてコーヒーカップを温め、フィルターに豆をセットして慎重にお湯を注いでいく。ゆっくりと落ちていくコーヒーをじっと見つめているひととき。
それはそれで至福の時間ではあるけど。
とりあえず…とりあえずコーヒーが飲みたい…
そんな時…
紙コップを片手に運転席の窓を開けて、空を見ながら
”プワー”
っと深呼吸する。
美味しいというより何かから(何だろ…)の解放感…にひたる一瞬。
その後、何年もセブンのコーヒーを飲んでいた。
テレビでコンビニのコーヒーの特集をやっていたのを見て
(他のコーヒーも飲んでみようか…)
”世界一のバリスタが認めたコーヒー”
という触れ込みにつられてファミマのコーヒーを飲んでみた。
(???)
(うーん…苦い)
コーヒーだから苦いのは当たり前なんだけど、わたしの好みの苦さではなかった。
炭焼は苦手。そんな感じの苦さ。
職場が変わると当然通る道も変わる。
今度の職場はローソンが通り道にあった。
(ものは試し。飲んでみようか…)
……
(あれ!好きかも…)
苦味とこくと飲みやすさがわたしにはちょうどいい。
こうして、この歳になったわたしの口に合うコンビニコーヒーは
ローソンに落ち着いた。
…今のところね…
(…百円の時代はさり気なく終わり、今は百二十円トホホ)