森野きりりの漂流日記

容姿もダメ頭もよくない、おまけに性格も悪いと自分を否定することしかしなかった女の子が、人生の荒波の中で「いやいや何も取り柄がなくても大丈夫さー」ということに気が付いていく長い長いお話です

しあわせの情景 Part4

 

日曜日の昼下がり…(日曜日もわたしは仕事)

仕事だけど三時くらいには帰れるだろう…

 

家に戻ってみると、息子がひとり寝転んでテレビを観ていた。

(あー疲れた~)

って言ったつもりが

「珈琲入れようか?…」

なんて言ってしまってる。

「あっ、お願いしまーす」

待ってましたと返事が返ってくる。

 

(なんで?こうなるかな?)

喉から手が出るほど珈琲を欲しがっているのはわたし…

じゃ、わたしが淹れるか…



お湯を多めに沸かして、コーヒーカップを温める。

コーヒー豆をセットして、ゆっくりと淹れ始めた。

いつもと違って今日は二人分だから、ちょっと丁寧にお湯を注ぐ。

 

 

「はい、どうぞ」

ひとくち飲んだ息子が

「美味しいー!」

続けて

「淹れるの、上手だね!」

えっ!(まじ…か!)

決して上手だなんて思っていないわたしは、素直に驚く。

 

上手だねと言われて、いつもの珈琲がほんとに美味しいと感じてしまった。

ただ、それだけのおはなし。