森野きりりの漂流日記

容姿もダメ頭もよくない、おまけに性格も悪いと自分を否定することしかしなかった女の子が、人生の荒波の中で「いやいや何も取り柄がなくても大丈夫さー」ということに気が付いていく長い長いお話です

春が翔(か)ける

 

 

二、三日前まで川には子ガモの姿があった。

いつも三羽ではしゃいでいるのが微笑ましかった。

今日は姿が見えない。

親鴨も離れたところでのんびり泳いでいたのに、どこを見渡しても姿がない。

 

 

あっ!

ぽつんと一羽…

 

朝から冷たい雨が降っていた。

北へ帰る日がきたのだろうか…

サンサンと陽がさしたり、冷たい雨が降ったり、こうして季節は移っていく。