森野きりりの漂流日記

容姿もダメ頭もよくない、おまけに性格も悪いと自分を否定することしかしなかった女の子が、人生の荒波の中で「いやいや何も取り柄がなくても大丈夫さー」ということに気が付いていく長い長いお話です

2023-01-01から1年間の記事一覧

猫ちゃんのしあわせさがし

わが家の庭の隅。 ちょうど死角になるところに昼寝するのに最適な場所がある。 !! わたしじゃないですよー 寝るのは猫ちゃん。 笹の葉のベッドは、通りかかった猫ちゃんがきっとこう思う。 (なんて!気持ちよさそうなの!寢らずにはいられない!) 仕事か…

そらをめざす無花果(いちじく)

春は木や花のエネルギーが強すぎる。 爽やかな緑につい誘われて歩こうものなら 勢いに押されてしまうような… そんな気持ちになってくる。 だから春がきらいというわけではない。 春は楽しみもたくさんある。 ふと思いついて、川に面しているほうの庭に降りて…

かおがこわすぎる

以前から気になっていた検査が終わって病院をあとにした。 心配していた隠れ病気は見つからなかった。 (じゃあ、なんで…?) ( …… ) (まっいいかー) 気を取り直して帰り道、新しくできたスーパーに寄った。 最近はいつも疲れていて、時間があれば家でぐ…

ひとりでいきる

うしろ姿を見かけて (ひとりぼっちになったのね…) と思ったけど、 (あれ…足取りは軽くはないけど、重くもないぞ!) 淡々と通り過ぎていった奥さん。 もう七年も前のこと。 思わず口元が緩んでしまう愛らしいワンちゃんを見かけると (あーっ!ラッキー!…

ひとりになる

窓の外に広がるのは、青い空と白い雲。 平和な時間が流れる昼下がり。 空をもっと眺めようと身を乗り出した。 すると、 道の左側からディズニー犬(と言いたくなるほど絵になるワンちゃん)が現れた! 今日は昼間の散歩なのね。 家の横の川の向こうの家の奥…

クレマチスに学ぶ

クレマチスは不思議な植物だ。 冬から春になろうとしているころ、しげしげ眺めてもただの枯れ枝にしか見えない! (あーあ、枯らしちゃった…) と、悲しく眺めたことが何度もある。 ところがある日、 枯れていると思った枝の中に緑色を発見。 (生きていたん…

くるいざき

この家に越してきたとき、庭に花があるのが嬉しくて用事もないのに何度も庭に降りたものだった。前に住んでいた方が、とても花好きだったらしい。 名前も知らない花が次から次に顔を出した。 わたしは妹と違って、花も野菜も植物はとんと分からない。 新しい…

はーるよ来い

朝、家を出ると 「あれー!なんだか白い!」 空も遠くの山も、白い世界の中に霞んでいる。 黄砂なんだろうか? 黄砂だとわたしの鼻が 「ハーックション!」 と反応するはずなんだけど… 不安で落ち着かない日常。 白い世界はその象徴のようだ。 空を見上げて…

今も水曜日はカレーだけど…

カレーを週一必ず作るのは今も続いている。 だけど何時間もかけて作っていたのは、過去のことになってしまった… 今は”なんちゃってカレー”でお茶を濁している。 玉ねぎはフードプロセッサーで小さくしたものを10分くらい炒めているだけ。 小麦粉をじっくり炒…

じゃあどうするか

ある日、突然 (どうしよう…) ってことが起きて、焦ることありません? 途方に暮れるくらい大きなことだったり、小さなドッキリ程度なことだったり。 今日は、つい最近の焦りまくったお話し。 わたしの仕事は、施設でお昼ごはんの準備と片付け。 出来上がっ…

楽しかったなぁおんな旅

もう十年ほど前のことだろうか… もっと前になるのかな… 母と姉と妹と四人で旅行したときのこと。 歳をとって気がついたんだけど、わたしは記憶に少し難がある。 それは、妹と話していて気がついた。 むかしの話しを思いつくままにしているとき 「えっ?そん…

せっかくの読書脳

長らく本から遠ざかっていたのに、ひとたび読み始めるとたちまち生活の一部になった今日このごろ。 小池真理子の本を立て続けに六冊読んだ。 ところが、 思わぬことになった。 このたび最後に読んだのは『無花果の森』 主人公は、地味で暗くて薄幸が服を着て…

おかあさんがきらい

朝ってなんであんなにバタバタ忙しいんだろ! 前の晩にちゃんと用意しているはずなんだけどね。 まだ若かったころは、新聞を読んでゆっくり珈琲を飲んでから出かけてたりしてたけど… とはいえ、忙しくても必ずすることはある。 新聞の人生相談のコーナーと連…

小さなナイチンゲール

ぽっかり時間ができると (待ってました!) と断捨離に励むわたし。 今日は午前中で仕事が終わった。 帰宅して、早速クローゼットに向かう。 (徹底的に片付けるよー) と思っていても必ず陥るのが (あっ、これは捨てられないな) (もうちょっと様子見よ…

龍角散のど飴が…消えた!

もう半年くらい経つだろうか。 わたしの喉にエヘン虫が住みついた。喉がイガイガしてほんとうに憂鬱。 これってPMかな?毎度おなじみの黄砂かな… 慣れっこになっていて半分諦めてはいるけど、春はじつは憂鬱な季節でもある。 ある日のこと。 起きて声を出そ…

もしも生きていたら 

赤い表紙が目の端に入って気になるので、ちょっと寄り道。 池田晶子さんはわたしよりひと回り若い1960年生まれ。 しかし2007年に亡くなられてしまった。 まだ47歳だった。 もしも2023年の今を生きていたら、何を語るだろうか… コロナで世の中が一変してしま…

読書脳

新しい年が明けて相変わらず慌ただしい日を過ごしているけれど、突然本を読む暮らしが戻ってきた。 買い物の途中でふっと見上げた先にあった図書館。 見上げなければ何も思わず疲れた顔をして、買い物だけして帰っていただろう。 あの時、上を見上げたわたし…

さよならの意味

ママは今から大事な電話をしなくてはいけない。 居間で遊んでいた娘をチラッと見た。 「二階に行こうか!」 「行くー!」 わたしと二階に上がるサプライズに孫娘が目を輝かせた。 得意気にわたしを案内する孫。 二階は思ったとおり明るい日差しがあふれてい…

日本列島”氷の世界”

朝一の用事を済ませて家に戻ると、とりあえず一息… 窓から見える空を楽しもうと、ソファに腰を落ち着けた。 壁をぶち抜いて作ったこの出窓からは、青空と樹木と刻々と流れていく雲が見える。 このところ、何日も前から世間は大騒ぎ! 寒波襲来! 災害級の大…

素顔は知らないの

去年の春までは今とは全然違う仕事をしていた。 今は立ちっぱなしの仕事。体力が頼みの綱だけど、そのときは座ってパソコンと格闘する日々。毎朝、家を出る時は (今日も一日、無事に乗り切れますように…) なんて、ちょっと弱気なわたし。何故って頭の中は…

満月

フロントガラスの先に見える月がとても大きく見える。 (今日は満月だった…) このまま帰るのはもったいない気がした。 家の近くまで戻っていたのに、Uターンしてスーパーマーケットでノンアルコールのビールを一本買うと、満月を見るために空き地に車を停め…

かなしみの森はどうなっただろう

すっかり忘れていたくせに、手にした本を見つめて (やっと会えたね!) と、思っているわたし。 本を助手席に置いて家路を急いだ。 青い色の中に月がぼうようと浮かんでいる表紙をそっと開く。 読み始めた途端、周りの景色が消えた。 小池真理子という作家…

かなしみの森にいた真理子さん

正月休みが終わって、2023年が動き出した。 慌ただしい日が始まる。 買い物に出たわたしは、信号待ちをしていてふと上を見上げた。 視線の先に、丘の上の図書館の屋根が見えた。 買い物を後回しにして、図書館に向かった。 駐車場はあいかわらず市松模様…