朝一の用事を済ませて家に戻ると、とりあえず一息…
窓から見える空を楽しもうと、ソファに腰を落ち着けた。
壁をぶち抜いて作ったこの出窓からは、青空と樹木と刻々と流れていく雲が見える。
このところ、何日も前から世間は大騒ぎ!
寒波襲来!
災害級の大雪、猛吹雪に警戒を!!
十年に一度の低温注意!路面や水道管の凍結に注意!!!
「ここまで煽られると、年寄りは途方に暮れてしまう」
「むかしはこんな風に大騒ぎしてなかったよね」
テレビを見ながらブツブツ言っているわたしを見て、息子が
「いろんなことが詳しく分かるようになったからね」
(そうなんだろうな…)
(何でも分かってくると、こわいね)
そうは言ってても、窓から見える景色はやっぱりいい…
はらり…と、雪が舞うのが見えた。
「おっ!ほんとうに雪が降り出したよ」
次の瞬間…
はらり…からアッという間に出窓から見える景色が白一色になった。
ブワーッと、白!
(えっ!えっ!えっ!)
口が開いたままふさがらない。白の世界に変貌するまでほんの何秒かしか経ってない。
猛吹雪だ!
青空も樹木も雲も、すべてがアッという間に消えてしまった。
(ひと休みしたら買い物に行こう…)
と思っていたのに…
そんな余裕はない。このままだと行けなくなっちゃう!
慌ててバックを掴むと外に飛び出した。
一瞬ひるむ…
(この中を運転していけるだろうか…)
無謀にもエンジンをかけて、そろそろと出発した。
目指すのは車で十分くらいのスーパーマーケットだ。ワイパーでフロントガラスの雪を吹き飛ばしながら出かけた。
買い物は無事に済ませて帰宅したけど、家に落ち着いてみれば
(なんで、あの中を出かけちゃったんだろう…)
雪に煽られて、どこかの思考のスイッチが誤作動したのかな…
最近のじぶんの運転の様子を考えてみると、無謀でした。
反省しきりの夜。
ずっとむかしは、当たらないのは天気予報と何とか…とかよく言っていたけど、最近は本当によく当たる。
”水道管の凍結に注意!!”
と何度も言っているのに、
(まあ、大丈夫でしょう…)
次の朝、水道管は凍っておりました!