森野きりりの漂流日記

容姿もダメ頭もよくない、おまけに性格も悪いと自分を否定することしかしなかった女の子が、人生の荒波の中で「いやいや何も取り柄がなくても大丈夫さー」ということに気が付いていく長い長いお話です

かおがこわすぎる

 

以前から気になっていた検査が終わって病院をあとにした。

心配していた隠れ病気は見つからなかった。

(じゃあ、なんで…?)

( ……  )

(まっいいかー)

 

気を取り直して帰り道、新しくできたスーパーに寄った。

最近はいつも疲れていて、時間があれば家でぐうたら過ごしてばかり。

(たまにはブラブラしてみようかな…)

 

目的もなく見て回るのは、ずいぶん久しぶり。

ホホバオイルを買って、孫のおやつを買って、それから…

あれこれ見てまわるのは楽しいかと思いきや、たくさんの商品に疲れてしまった。

もっとゆっくりするつもりだったのに、わずか10分くらいで撤収。

 

駐車場に戻ると、車の中でそのままぼーっと休んでいた。

(空は青いし、雲は遊んでるし、寒くもないし、暑くもないし最高じゃん!)

 

突然、右側から黄金色の軽自動車がビューッと現れた。

通り過ぎたと思ったら、バックでわたしの方を目がけて突進してきた。

(えっ!えっ!えっ!ぶつかるー!)

 

声も出せずに固まるわたし。

ぶつかるかと思ったそのとたん、急ブレーキ。

振り返った運転手の驚いた顔!

驚いているのはわたしの方ですがな!

 

運転席には四十代くらいのおんなのひと。

前進して停め直すのかと思いきや、あまりにも寄りすぎて動けないらしい。

わたしの車を斜めに塞いでいる黄金色。

近すぎる…

(わたしだって擦りたくないから動きませんよ)

 

しばらく双方で見つめ合った。

動く気配なし。

仕方なくわたしの方がわずかに空いている後ろに慎重にバックすると、切り替えてその場から抜け出した。

 

通り過ぎる時、運転席を覗き込むように見つめた。

助手席に中学生か高校生くらいの女の子が、口を開けたままわたしを睨んでいた。

 

(冗談じゃない…)

(なんでわたしが睨まれてるのよ)

プンプン怒りながら、何気なくミラーでじぶんの顔を見た。

 

(あららー…)

かおがこわすぎる!

眉と眉の間に深いシワを寄せて、これ以上ないくらいこわい顔をしていた。

 

これじゃあ、

「すみませーん!」

って言おうと思っても飲み込むかも…

あの女の子が反発して睨みつけてきた気持ちがわかる気もする。

 

じぶんの人間性がでたね。

病気が見つからなかった良い日だったのに。

トホホの日になりました。