森野きりりの漂流日記

容姿もダメ頭もよくない、おまけに性格も悪いと自分を否定することしかしなかった女の子が、人生の荒波の中で「いやいや何も取り柄がなくても大丈夫さー」ということに気が付いていく長い長いお話です

幸雲街道を見つめて

 

仕事が終わってホーッと一息…

空を見上げる。

(あー!今日もきれいな青空だー…)

ぽっかりと雲が浮かんでいる。

 

夏が終わって秋の気配…

爽やかな日がしばらく続くのかと思ったら、一気に冬を思わせる冷たい空気!

かと思ったら…

また、暑くなった。

半袖のTシャツをあわてて引っ張り出す。

 

青空のときはもちろん、曇りの日も、シトシトと暗い雨の日でさえも

(このままずーっと眺めていたい…)

こんなにも美しいと感じるものが、上を向くとあったんだ…

 

家を出て五分もしないうちに大きな川に差し掛かる。

川幅が三、四百メートルくらいあるだろうか。右側が海へ向かい、左側は山へと続く。

映画のワンシーンのように、その中をゆっくり走る。

時々、しびれを切らした後続車から激しいクラクションが…聞こえる。

「すみませーん!」

「どうぞ、お先に…」

ウインカーをあげながらも、空から目が離せないわたし。



だけど…

幸雲街道を見つめながら走るわたしのこころは…実は晴れない。

あの空の彼方の、遠い国の人々の姿が浮かんでくる。

戦禍の中で空を見上げることなどできない人々がいるという現実。

来る日も来る日もニュースは悲惨な状況を伝え続ける。

 

物価が上がっても災害が増えてもコロナの心配は尽きなくても、この国に生きていることの幸せを思う。

精一杯生きているのに、後ろめたいと思ってしまう日々…