森野きりりの漂流日記

容姿もダメ頭もよくない、おまけに性格も悪いと自分を否定することしかしなかった女の子が、人生の荒波の中で「いやいや何も取り柄がなくても大丈夫さー」ということに気が付いていく長い長いお話です

つらい日は空を見上げる

 

仕事が終わって帰宅していた。

信号を右折して住宅街に入ると、もう自宅はすぐそば。

 

実は二週間前から新しい仕事が増えた。

わたしのわがままを聞いてもらって始まった仕事は、心配した通りなかなかハードだ。

 

住宅街に入ったので、徐行しながら進んでいると向こうから水色の服を着た女の人が歩いてきた。

一目見て

(あっ!)

こころがつらいとき、パワーをくれるともこさんだ。

車の窓を開けると、いつもの笑顔がわたしを見つめた。

「あら!今日の眉はいい形ね!」

開口一番のセリフが眉かよ…

 

「形はとてもいいけど、もうちょっとだけ優しく描いてね」

「はーい」

元気をもらうと、笑顔で手をふった。

なんだか疲れているその日にともこさんを見かけた幸運が嬉しかった。

 

家に帰ってテレビをつけてみると、ことばを飲み込むニュースがあふれ出す。

”線状降水帯”が通り過ぎたあとの凄まじい被害。

”終わらない世界の紛争”

”地球規模の異常気象”

”…ことばの凶器に苦しむひと”

天気予報を見ようと思ったけど、すぐに消した。

 

こんな日は

外に出て幸雲街道でもさがしてみよう…