森野きりりの漂流日記

容姿もダメ頭もよくない、おまけに性格も悪いと自分を否定することしかしなかった女の子が、人生の荒波の中で「いやいや何も取り柄がなくても大丈夫さー」ということに気が付いていく長い長いお話です

餅は餅屋 馬は馬方

 

このごろは暑いと思ったら肌寒くなり、朝方はまだまだ冷えるよね…と思っていたら、突然真夏の暑さになり、そんなこんなに弄ばれて片付けそびれていたコタツ

さすがにここ何日かの蒸し暑さには、コタツは見ただけで汗が出てきそう…

 

ゴロゴロ出来て腰痛持ちのわたしには、とってもありがたかったコタツ

だけど、寝っ転がっているぶんにはいいけど、正座するとすぐに腰が痛くなる。

散々お世話になったコタツではありますが、この際テーブルと椅子にすることにした。

 

さっそくテーブルを居間に運んで、コタツは物置部屋へ。

となると、椅子が要る。

若い頃と違って、今は何を選ぶにもまず軽いというのが第一条件。

カバン置きにしていた籐の椅子を持ってきた。テーブルと高さもちょうどいい。



座ってみると

(………)

いいような…気はする。

見た目も自然だし、何より軽いもんね。

 

ところが、二、三日使ってみると、どうもしっくりこない気がする。

なんか落ち着かない。

立ち上がって、籐の椅子をながめる。

(いい感じなんだけどなー)

 

それから、また何日か経った。

(やっぱ、座ってられない。すぐに立ちたくなる)

という結論に達した。



実は、隣の部屋にはちゃんとした椅子がある。

ずっと昔、家具屋さんで気に入って買った椅子。

後ろ姿が美しくて、愛用していたのにいつの間にか使わなくなった。

 

使わなくなったのには理由がある。

やたら重いのだ!

回転式ではないので、だんだん重さがこたえるようになった。

食事を始める前、終わったあと

「よいしょっと!」

持ち上げるのがだんだん苦痛になって、いつの間にか隣りの部屋に移動していた。

 

その椅子をあらためて眺めてみた。

籐の椅子は、わたしのように(歳をとってしまって)軽くて扱いやすいものを望んでいるひとには本当にありがたい。

しかしである。椅子本来の座り心地とかデザインを追求したものは、

(違うのかも…)

その重い椅子に試しに座ってみた。

 

(ああー…これだ、これこれ…)

若くて元気だった頃は気がつかなかったなあ…この安定感。

 

長い年月放置していた椅子を、

「よいしょ!よいしょ!」

と、運んできた。

運びながら

”餅は餅屋” ”馬は馬方”

なんてことわざを思い出した。