森野きりりの漂流日記

容姿もダメ頭もよくない、おまけに性格も悪いと自分を否定することしかしなかった女の子が、人生の荒波の中で「いやいや何も取り柄がなくても大丈夫さー」ということに気が付いていく長い長いお話です

猫ちゃんお家に帰りなさい

 

 

 

わたしの部屋から眺める庭は、今まさに春が咲き乱れている!

ソファーに座ると、正面に円形の花壇が見える。

この花壇には5年前に天国に旅立った愛犬が眠っている。土の中で淋しくないようにと妹が花をたくさん植えてくれた。

花を眺めながら愛犬との思い出にひたる時間は、わたしの顔も優しい表情をしている気がする。

 

花壇だけではなく、プロの庭師さんも感心した庭全体のデザインは、妹が設計図を書いて作り上げた自慢の空間だ。ソファーは、座ると花壇が正面になるように配置している。

 

珈琲を飲みながら、部屋から庭を眺めていた。

と…

前を何かが横切った!

何かじゃない!猫だ。

 

わたしを横目に優雅に庭を散策する猫!

「コラー!!」

珈琲をテーブルにガチャンと置くと、わたしは声を張り上げた。

 

横切るだけなら、まだ許す。あの猫ちゃん達は、わが家の畑をトイレだと思っているらしい。妹が汗水たらして耕した、ホッコホッコの柔らかい土を目指してやって来る。

「自分ちのトイレに行きなさい!」

の思いを込めて、

「キャッ!」と

猫が飛び上がるくらいの大声で叫ぶ。

 

犬と違って大半の人が放し飼いで猫を飼っている。猫のことはよく分からないけど、猫もトイレの躾ってできるのだろうか?

「お願いだから誰にも文句言われないように、自分ちのトイレでしてください」