流儀ってそんな大層なことではないのだけど…
そうしないと気がすまないってことあるよね。
たとえば…
掃除するときの優先順位。わたしは、仏様の写真の前から必ず始める。
洗濯物を干すとき。片手で取り込めるように、一番上のボタンは必ず外す。
屑カゴの中身は家の中で夜を過ごさせない。
ガムテープを貼るときは必ず端っこをちょっと折り曲げる。(はがす時にすごくイライラするでしょ)
何をするにも、イライラの元は潰しておきたい。
それから…
料理を始める前には、まず台所の片付けをする。
水を切っていたコップとか鍋とか…置いたままになっているものを、ぜんぶ所定の場所にしまう。
IHのコンロをツルツルに拭き上げ、ついでにコンロ周りの壁を拭き始めて夢中になってしまい
(あっ!そうだった。料理をするんだった)
目的がすり替わってることも!
このきれいな状態から料理を始めたいという、わたしの癖(へき)には苦い経験がある。
ずいぶんむかし、調理の仕事をしていたときのこと。
出勤して台所に行くと、とりあえずきれいなんだけど…
(うーん…)
気持ちよく料理するには、ちょっとためらう感じの片付け具合…
放置されたコップとか、何かがこぼれて汚れたままの床とか…
仕事に取り掛かりたいのはやまやまだけど、迷った末片付けることにした。
ということが続いている内に、残された洗い物がどんどん増えていった。
(あれー!ちゃんとじぶんの仕事終わらせて、わたしに引き継いでね)
このままだと調理にかける時間がどんどん侵食されていく。
(はぁー…)
朝、流しに積み上げられた食器をながめてため息をついた。
いい人でいたいわたしは、できれば波風を立てたくない。
だけど…
ある朝、
「片付けまできちんと終わらせてわたしに引き継いでね」
と、勇気を出して伝えた。
「あっ、すいませーん」
で、終わった。ぐずぐず悩まないで早く言えばよかった。
他人はわたしと違う価値観で動いている。他人から見ればわたしも
(どういうこと?)
って思わせるようなこと、きっとやってるんだろうな…
じぶんの流儀も大事だけど、違うことにこころ惑わされないことだね。