森野きりりの漂流日記

容姿もダメ頭もよくない、おまけに性格も悪いと自分を否定することしかしなかった女の子が、人生の荒波の中で「いやいや何も取り柄がなくても大丈夫さー」ということに気が付いていく長い長いお話です

きよしのこぶしに癒やされる

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このところ心が沈むことが続いた。

いつもの通りご飯作って、身支度して笑顔で仕事に出かけてはいる。

でも、ちょっと油断して視線を下げてしまうと、たちまち奈落の底に落ちてしまうような心持ちになる。

 

昨日、夕食の準備をしようと台所に立ったものの、ぼんやりしてしまった。

頭の中が空っぽのまま、しばらく立っていた。

 

……

 

突然、「白雲の城」が聴きたいと思った。

こんな時は、もっと明るい曲。たとえば「きよしのズンドコ節」の方がいいのかも知れないけど、

「白雲の城」が聴きたくなった。

iPadを持ってくると、You Tubeを開いた。

 

…夢まぼろしの人の世は…

 

朗々と響く声が聞こえてきた。

終わると、もう一度聴いた。

それが終わると、また更に聴いた。

料理を中断して、誰もいない台所でじっと氷川きよしを聴いていた。

 

ひとそれぞれ心に響くものや、好きなものがあると思うけど、あの声が何故こんなにも深くわたしの心に刺さるのかわからない。

好きな歌手はいっぱいいる。音楽を聞くのは、普段の生活でも当たり前の日常だった。

だけど、最近は誰の歌も聞いていない。



今日、「白雲の城」を思い出してよかった!

明るい歌じゃないのに、大好きなこぶしまわしを聞いている内にだんだん力が湧いてきた。

すると、ほかの歌も聞きたくなった。

氷川きよしの伸びのあるこぶしまわしを沢山聞いたわたしは、すっかり元気になって中断していた料理にとりかかった。

 

こうやって沈んだわたしを元気にしてくれるのに、もうテレビで氷川きよしのこぶしが聞けなくなるなんて悲しすぎる。

 

でも、仕方ないんだね…