森野きりりの漂流日記

容姿もダメ頭もよくない、おまけに性格も悪いと自分を否定することしかしなかった女の子が、人生の荒波の中で「いやいや何も取り柄がなくても大丈夫さー」ということに気が付いていく長い長いお話です

フンスルナ ↓

 

車を運転していると、ガードレールに何か文字らしきものが書いてある。

(なんだろう?)

徐行して近づいてみると…

 

”フンスルナ↓”

??

緑色のビニールテープをハサミで切ってガードレールに貼り付けてあった。

フンスルナって何?

(まっ、いいか…)

首を傾げながら、通り過ぎた。

 

何日か経って同じ場所にさしかかったわたしは、ふと先日の

”フンスルナ↓”

を思い出した。

急ぎの用事があるわけじゃなし、車を停めるとガードレールを観察してみようと考えた。

 

ガードレールには

”フンスルナ↓”

確かにそう書いてあった。

 

下を見ろということか。

下を見ても何もない。

近くを歩いてみると、少し離れた草むらのそばのアスファルトに同じビニールテープで

”フンスルナ”

貼り付けてあった。

 

更に歩いてみる。同じテープで

”フン害”

とあった。

そして更に”イヌノフン”

 

(あーっ!そういうことか!)

ワンちゃんの散歩でフンを持ち帰らない人は残念ながらたいへん多い。

かつて愛犬の散歩のとき、そのことに憤慨した記憶がよみがえった。

 

フンを放置したまま帰る飼い主に抗議した行動だったのだ。

それにしても、ビニールテープをハサミで切ってアスファルトに貼り付けて行く作業は大変だっただろう。だって道路だよ。手間も面倒だっただろうし、わたしなら人の目も気にしてしまう。

 

道のテープを眺めながら感心しきり。

パステル色のテープは無視してしまうには勇気がいっただろう。

ビニールテープのまわりにフンは見当たらなかった。

 

 

肩身が狭かったワンちゃんが、

(あーよかった…)

と喜ぶ風景がどこかにあるのかも…