森野きりりの漂流日記

容姿もダメ頭もよくない、おまけに性格も悪いと自分を否定することしかしなかった女の子が、人生の荒波の中で「いやいや何も取り柄がなくても大丈夫さー」ということに気が付いていく長い長いお話です

謎のリングはどこにもない

 

今日は車がない。

(しかたない…歩こうか…)

歩き始めるとすぐに川の水がキラキラと光る光景があたまにうかんだ。

 

いつから歩いてないんだろう。

思い出せないくらいウォーキングのことを忘れていた。

腰痛は相変わらずあったりなかったり…

これからはウォーキングで背筋を鍛えて、腰痛とおさらばするんだって思っていたのに。

 

川が見えてくるとすぐに早足になった。背中も自然にピンと伸びている。

怠けていた時間は嘘をつかない。背中がピン!とはなってないんだろうな。

ちょっと気落ちして歩き続けた。

 

道を眺めてみると

(あれ?リングはどこだっけ?)

ワンちゃんのウンチを囲っていた謎のリングが見当たらない。

目を凝らして見てもリングらしきものはどこにもない。

 

川に目をやれば…

鴨の父さんも母さんもチョコチョコついて回っていたチビ鴨ちゃんたちの姿もない。

鴨の家族で賑わっていた川は以前のようにキラキラ輝いているのに。



今年の冬もこころが晴れないことが続く。

拡大の方向に向かっている新型コロナ。

終わりが見えないウクライナ情勢。

ミサイル発射のニュースを不安な思いで見上げる日々。

 

謎のリングを書いたひとも、先の見えない世の中に

(もうそんなことどうでもいいよー)

と思ったんだろうか?

リングはどこにもなくて、相変わらずワンちゃんのウンチは放置されていますけどね。

 

鴨の家族はどこだろう?

もっと平和な場所はないかと探しているのだろうか…

《謎のリングと潜水艦》2021.8.19