森野きりりの漂流日記

容姿もダメ頭もよくない、おまけに性格も悪いと自分を否定することしかしなかった女の子が、人生の荒波の中で「いやいや何も取り柄がなくても大丈夫さー」ということに気が付いていく長い長いお話です

台風十四号は去ったけれど

  

 

いつもは台風接近のニュースを見ても、

(この辺は、多分大丈夫だろ…)

と、勝手に決めこんで、ちょっと他人事で済ませてた。

一応、養生テープを買い込んで窓ガラスに貼り付けたり、外を見回って飛びそうなものを片付けたり、最低限のことはもちろんしてたよ。

 

でも、今回は様子が違った。

910ヘクトパスカルって…何それ?

最大瞬間風速70メートルって、いったいどんな風だよ?

古い家屋は一瞬で飛んでしまうんじゃないの!

(これはもう何をどうやったって無駄だよね…)

 

絶望感を感じるくらい不安な気持ちで夜を迎えた。

夜中になる頃には、どこに何が当たってるのか分からないけど、風の音に混じっていろんな音がしている。

今にも、天井が吹き飛ばされて真っ暗な空が頭の上に出現するんじゃないか…

(怖い、怖い…)

(怖いよー…)

 

ありがたいことに、風の音を聞いているうちに眠気が襲ってきて、いつの間にか寝ていた。

時おり、激しい音にハッと目が覚めたりはしたけど、すぐに寝落ちした。

 

朝目が覚めると、すぐにテレビをつけた。

920ヘクトパスカル

まだ勢力が落ちてない!

 

…その割には、風の音が思ったほど激しくない…

休むはずだった仕事は、どうも大丈夫そうだ。

時々強風になる中を、スピードを抑えてゆっくりゆっくり運転して職場に向かった。

 

午後になると吹き返しの風が激しくなってきた。

それでも最悪の状況からは抜け出たようだ。

夕方のニュースを見てみると、日本列島を縦断してやりたい放題の台風十四号。

 

年々、台風が巨大化していってるような気がする。

それとも、こんなことはむかしから繰り返されてきたことで、歳をとって恐怖心が大きくなってきたてるのかなあ…

 

地球、頑張って!

いや、人間がもっとがんばれ!

……かも