かなしみの森はどこにでもあるんだよ。
ふだんは気がつかないだけ。
大切なものを失ったとき不意に目の前に現れる。
花を見に出かけた。
ずいぶんむかし、母と姉と妹と四人で来たところ。
花々を見ていると、四人で笑いさざめきながら散策した光景が浮かんでくる。
遠い未来のことなんて何にも考えてもなくて、目の前に広がる花だけを幸せな気持ちで見ていた。
長い長い時間(とき)が流れ、世の中も世界もそしてじぶんもずいぶん変わった。
あのときには見えなかったたくさんのことを想う。
かなしみの森は
むかしも今も静かにそこに在るんだけどね…