オリンピックが終わってしまった。なんだか気が抜けてしまったね。
去年の夏のオリンピックを振りかえった時、浮かんでくることばは”力強さ”。
それに対して冬のオリンピックは”優雅”ということばがよく似合う。
白い雪や透き通った氷のせいかな。どの競技も優雅で美しい。
選手のみなさんは想像もつかない努力の日々を積み重ねられているのだろうけど、そのことを忘れさせてしまう素晴らしい演技に、わたし達はテレビの前で釘付けになった。
そんな中、待ちに待ったフィギュアスケートのショートプログラム。
誰もが期待と一抹の不安を胸に、登場した羽生結弦を見つめる。
まさかの結果…それ以上に驚いたのが
「報われない努力ってあるなと…」
という羽生結弦の言葉だった。
誰がインタビューを受けている時も思うのだけど、全力を出し切って頭の中が空っぽ状態のときにマイクを向けられるのって、残酷だなーと思う。まさにその瞬間を切り取るのが、インタビュアーの仕事かも知れないけど。
ショートプログラムが終わってからの二日間。わたし達は固唾(かたず)を呑んで見守った。失意のどん底で苦しんでいるのではないだろうか…
そしてフリーの日。
四回転アクセルで手をついた瞬間、日本中から悲鳴が聞こえた気がした。
四分間はとても長く、美しかった。
演技が終わったあとのやりきった清々(すがすが)しい笑顔に
(よかったねー!がんばったねー!)
わたしたちが目にしたのは、自分が追い求めたものから逃げない姿だった。
テレビカメラが追いかける表情をわたしも一緒に追いかけながら、結果ではなくそこに至るまでの長い長い努力の日々に拍手を送った。
努力すれば報われるのって、とても稀だと思う。
頑張っても、やり方を変えてみても、誰かにアドバイスを受けても、思うようにならないことのほうが多い…
「じゃあ、どうすればいいのよ…」
自分が納得できたらいいのかなー…
努力することと、結果は別物だ。結果がすべてではない。
羽生結弦が見せてくれた逃げない姿に、望んだかたちとは違う何か大きなものを掴んだのではないかと感じた。
エキシビションでの美しい舞いと、清塚信也さんの素晴らしいピアノ演奏を思い出しながら、みなさまにも、春が来ますように…