ブルーベリーの花が満開を迎えた。
むかし(むかし…と表現することが自然なことになってしまった…)
「実を摘みにおいでよー」
と連絡すると姉がウキウキ顔で駆けつけてきた。
ザルが山盛りになるほど夢中で実を摘んでいたっけ。
ドウダンツツジには小さな花が無数に咲く。
鬼瓦のような恐面(こわおもて)の父が、可憐なドウダンツツジを好きというのがおかしくて、花に見入る父をクスッと笑いながら見つめた。
筍が店先に登場すると、あわてて山椒の葉もすがたを見せる。
むせそうになるくらいたくさんの山椒の葉がはいった木の芽あえを、今でも妹が父のために作る。
姉は五年前。父はもう十年以上も前に亡くなった。
何年経っても季節が巡ってくると、まるでそこに居るかのように好物だった料理を作り、在りし日の思い出にひたる。
ハナミズキの木はわが家の庭で幼少期(?)を過ごし、その後妹が住む家でのびのびと成長し続けている。
(ここがわたしの居るべき場所だわ!)
とでも言うように、見事な花を咲かせ始めた。
無花果はそらをめざして成長中。
わたしの欲深い期待を一身に背負ってどこまでも伸びていく。
見下ろせば
(たくさんの実をつけるのだよ!)
とじゅもんを唱えるわたしのかおが見えてるかしら…