森野きりりの漂流日記

容姿もダメ頭もよくない、おまけに性格も悪いと自分を否定することしかしなかった女の子が、人生の荒波の中で「いやいや何も取り柄がなくても大丈夫さー」ということに気が付いていく長い長いお話です

雨のHoliday

 

黄砂で覆われた白い景色は憂鬱だ。

(せっかくの晴天も台無し…)

 

いつもは橋を渡っているときに、信号が赤になってもちっとも嫌じゃない。

左側のずーっと遠くにクッキリと美しい山の稜線が見えるから。

富士山には負けるけど、山頂がキュッと尖っているすがたは見飽きることがない。

 

だけど、山はどこだよ?

何にもない。山の下に広がる家並みも見事に消えてる。

(はぁー…)

 

雨でも降ればなー…

天気予報では雨になるといってたけど、ほんとに降るかな…




明け方、雨音に気がついて窓を少し開けてみた。

見事な雨が降ってるじゃないか。

(最近の天気予報は当たるねー!)

毎回、同じことを思う。

 

雨のHolidayを楽しもうと出かけてみた。

(さてさて、山は見えるかな…)

 

……

雲に覆われて山はどこにもなかった。

モクモクモクモク…雲がすごい。

山も山の下に見えるはずの家並みも雲の中。

 

ぼやぼやしていると、わたしも雲に取り込まれるかもしれない。

スタコラサッサ

家路についた。