森野きりりの漂流日記

容姿もダメ頭もよくない、おまけに性格も悪いと自分を否定することしかしなかった女の子が、人生の荒波の中で「いやいや何も取り柄がなくても大丈夫さー」ということに気が付いていく長い長いお話です

歳をとっても未熟者

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お隣さんに回覧板を持っていったときのこと。

あいにく留守だったので、玄関ドアの前に回覧板を立て掛けてそのまま帰った。

 

次の日

(気がついてくれたかなー)

門扉の陰からそっと覗いた。見えない。

(まっ、いいかー)

帰りかけて、もう一度覗いた。

 

ふと、視線を感じて後ろを振り向くと、仁王立ちした新聞配達のおばちゃんが腰に手を当ててわたしを睨んでいた。

(あらら…この様子だとわたしの顔を知らないんだな)

わたしのほうは配達しているおばちゃんを見かけるので知っている。

 

(もしかして、怪しい人と思った?思ったよね!)

あわててその場から逃げ出した。

 

 

なんで逃げ出してしまったんだろ…

「回覧板に気がついてくれたかなって、確認していたんですよ」

って言えば済んだ話なのに。

 

そのおばちゃんも、

(よーく見てみれば、お隣さんだわ)

って気がついたかも知れないのに。

 

怪しい人に間違えられてすっかり気を悪くしたわたしは、姿を見かけると道を変えて顔を合わせないようになった。

(避けているのは伝わるんだな)

おばちゃんも何だか気まずそうにしている(ような)気がした。



ある日のこと、

道を歩いていると、夕刊を配達しているおばちゃんの赤いバイクが真正面から向かって来るではないか。

(あーっ!どうしよう!)

ここは何も遮るものがない一本道。隠れるところがない。

 

下を向いて、そろそろと歩いた。

 

目の前にバイクの車輪が…

見えないふりをしようとしたその時

「こんにちわー」

びっくりするような明るい声がした。

「こ、こんちにわ」

あわてて、挨拶を返した。

 

そのときにはもう、バイクは通り過ぎていた。

遠くなっていくバイクを見送りながら

(なんで、わたしから先に挨拶出来なかったかな…)

 

未熟者のじぶんに、反省しきりでありました!