仕事を終えて携帯をチェックすると、着信が入っていた。
「秋を届けようと思って連絡したよ」
「帰りに寄りますねー」
用事を済ませて、秋に会いに行った。
ずいぶん歳をとって気がついたんだけど、わたしは魅力的な人に会うと
(友達になりたい!)
という思いが異常に強い。
(なーんて…ちょっとこわい?)
(どうやったら友達になれるかな…)
と、すごく考える。
だけど、秋を届けてくださった方はそういう出会いではない。
偶然の出会いだったのに、なんだかんだでいつの間にか親しい間柄になった。
もう三十年以上も前のこと。
思い悩んで出口が見つからないとき、
「行ってもいいですか?」
と、電話をすると
「いいよー。いらっしゃい!」
と、必ず答えてくれる。
他愛のないはなしをとりとめもなくして、時間が過ぎていく。
それだけなのに帰路につくわたしは笑顔になっている。
家に帰り着くと、花瓶の中に収まった秋を見つめた。
その存在だけで幸せな気持ちを思い起こさせてくれる…
そんなひとっているよね!
出会えたことを幸せだと思う…