森野きりりの漂流日記

容姿もダメ頭もよくない、おまけに性格も悪いと自分を否定することしかしなかった女の子が、人生の荒波の中で「いやいや何も取り柄がなくても大丈夫さー」ということに気が付いていく長い長いお話です

干支ひとまわり6回終わった

 

”ねうしとらうたつみうまひつじさるとりいぬい”

これでひとまわり。12年かかる。

それが6回終わったということは…72年。

というわけで、わたしは今72歳。

 

72歳といったら…

いろんな経験も積み、やりたいことも特に思いつかない…

断捨離しながら終活のことでも考え始めるとか…



仕事が終わって車に乗り込むと、いつものように(最近の習慣なのだ)空を見上げた。

(おやまあ!これは何としたこと?)

空がない!

わけがないのだけど、そんなふうに思うほど見渡す限り真っ白。

あまりにも白くて、空じゃない気がする。

どこか宇宙の空間に、ポンと放り出されたような…

 

全体が真っ白の空って見たことありますか?

雲がまったくないのに、青くもない。

明るくて、ただただ白い空。

 

視線をはるか遠くにやると、

(あれっ!)

目を凝らした先に見えている家並みの後ろのあたり。そこに控えているはずの山が見えない!

 

……

(山はどこに隠れた?)

雲は見えない。しかし、山を隠してしまうとしたら雲しかない…

 

このごろは、運転しているときも、歩いているときも空の雲ばかり見上げている。

(なんで今まで見過ごしてたんだろう…)

これまでのうっかりを悔やむくらい、刻々と変化する雲は魅力的だ。

 

青かろうが白かろうがどんより灰色だろうが、前の車ばかりに気を取られて、空を見上げるなんてなかった。

(もったいなかったわー)



雲の魅力に気がついてしまった。

すると、

(あの雲を撮りたい!)

(あの雲を撮ろう!)

 

端から(はなから)才能なんてないと、スルーしてきたことの一つ。

突然、カメラに興味をもった72歳。

息子に、使ってなかったニコンのカメラを譲ってもらった。



干支ひとまわり6回終わっても、始めるものがあった。

見上げた空から降りてきた。

才能はきっとないけど、やる気はあるよ。

 

頑張れ!きりり