森野きりりの漂流日記

容姿もダメ頭もよくない、おまけに性格も悪いと自分を否定することしかしなかった女の子が、人生の荒波の中で「いやいや何も取り柄がなくても大丈夫さー」ということに気が付いていく長い長いお話です

しあわせの情景

 

朝、保育園に行く孫を送り出したときのこと。

 

いつもは玄関から元気に飛び出していく孫が、今朝は

「抱っこしてー」

と、わたしに手をのばした。

機嫌が悪いわけじゃなくて、たまたま今日はそんな気分だったのだろう。

 

孫を抱っこして玄関を出たわたしは、青く広がる空に目をやった。

「きれいな空だねー!」

孫はわたしを見ると、同じように空を見上げた。

すぐ前を歩いていた息子も、振り向いて空を見上げると

「きれいな空だねー!」

と言った。

 

ばあばとパパが、空に見入っている。

それを見て孫も

「きれいな空だねー」

と、舌足らずのことばで応えた。

 

しばらく三人で空を見上げていた。

ただそれだけの情景。

 

孫と息子を見送ったあと、

『空がきれい』

って、どういうことか孫は分かったのかなあ…

思い出してひとりでクスリと笑った。