森野きりりの漂流日記

容姿もダメ頭もよくない、おまけに性格も悪いと自分を否定することしかしなかった女の子が、人生の荒波の中で「いやいや何も取り柄がなくても大丈夫さー」ということに気が付いていく長い長いお話です

檸檬(れもん)

 

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四年前の夏、姉が遺した檸檬が元気に育っている。

 

直径一メートル位ある大きな鉢に、檸檬の木が植えられていたのを、業者さんに頼んで我が家の庭に運んでもらった。

 

「実のなる木は、大変よ!」

と、言われておっかなびっくりだったけど、すくすくと枝を伸ばしている。

わたしの背丈を超えてしまった檸檬を見ながら、このごろの自分の心の持ちように

反省しきり。



半年ほど前から、胸のしこりが気になっていた。

検査するのが怖くて気がつかないふりをしていたけど、いよいよ放っとけないと乳腺外科を予約して一ヶ月半。

あれほど心配していたのに

「大丈夫ですよ。異状ありません」

違和感は続くけど、何もないなら気にしないことにしますか。

 

次の日のこと、孫が熱を出しPCR検査を受けることになった。待っているわたしも心配になり熱を測ると七度四分!

あわてて、わたしも検査することにした。

二人とも陰性だった。

 

むかしは何でもないと笑い飛ばしていたことが、今は素通りすることができない。

情報に振り回されて、一喜一憂している。

姉が空の上から

「しっかりしなさい」

と、言ってる気がする。



最後の檸檬は、きれいなレモン色になってから収穫した。

(ただし、ジューシーさに欠けます)

今年こそは、姿だけでなく溢れるような果汁が絞れる檸檬をめざします!