森野きりりの漂流日記

容姿もダメ頭もよくない、おまけに性格も悪いと自分を否定することしかしなかった女の子が、人生の荒波の中で「いやいや何も取り柄がなくても大丈夫さー」ということに気が付いていく長い長いお話です

夢の時間「ダンスの世界」へようこそ!

   

 

仕事が終わって携帯をひらいてみると、

「電話してもいいですか?」

一通のメールが来ていた。

 

以前ダンスの練習を一緒にしていた知人から

「発表会を見に来て!」

というお誘いだった。      

一瞬迷ったけれど、コロナで延び延びになっていた晴れ姿。

「おめでとう!是非、見に行きます」

と返信した。



『車の運転が出来るあいだは絶対にやめない』

と、決めていた事のひとつが社交ダンス。

誰かに送り迎えを頼まなくてはならなくなったら、潔く(いさぎよく)諦めようと思っていた。

でも…

潮時ではなかったけれど、ダンスから遠ざかって半年が過ぎた。

悲壮な決心がいるかと思っていたダンスとの別れは、以外にもあっさりとしたものだった。

 

それができたのは、こんな時こその魔法の言葉があったから。

どんな言葉かというとね、心のなかで

『決めた!』

と、つぶやくのです。

 

「えっ!それだけ?」

って思うかな。

そう、それだけ。



花束を抱えて会場に着いてみると…

(あー!キラキラしてるー!)

着飾った人の群れが眩しくて懐かしい。

(やっぱりいいなー!)

ドレスアップした仲間たちを目にして、こころが歓喜している!

会場を見渡しているわたしに向かって手をふる人が!

わたしが来ることを聞いた友人が、驚かそうと密かに待っていてくれたのだ。

「まるで、同窓会だね!」



今日は見るだけ…と、ダンスシューズは持参しなかった。

未練とか、心残りとかそういう感情は

『決めた!』

とつぶやいた時に封印している。

 

懐かしい友人たちに会うことができ、ダンスを心ゆくまで見届けた一日に感謝して、まだダンス音楽が流れている会場を後にした。

 

 《決める→すなわち覚悟》2022.1.20