森野きりりの漂流日記

容姿もダメ頭もよくない、おまけに性格も悪いと自分を否定することしかしなかった女の子が、人生の荒波の中で「いやいや何も取り柄がなくても大丈夫さー」ということに気が付いていく長い長いお話です

伝播する感情ことばのちから

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新聞を広げたら、まずどこから読みますか?

一面?テレビ欄?

それとも三面記事で身近なニュースをチェックする?

 

わたしが一番に開くのは人生相談のコーナーがあるページ。

 

ひとさまの悩みが気になって気になって…ということではないよ。

悩みの方ではなくて、関心があるのは解答のほう。

難問を前にどんな解決方法があるのだろう、どう考えたらいいのだろう…回答する先生は何と答えるのだろうと、確かめずにいられない。

 

そのコーナーには毎日いろんな悩みごとが寄せられる。

途方に暮れた人たちの切実な叫び。実に多くの人が何かしら問題を抱えて助けを求めている。

 

こんな悩みを訴えられて解決方法があるのかしらん?という難問にも実に見事に返す解答者の方たちに

(へえー、そうきたかー)

わたしの狭い思考回路ではとうてい思いつかない見事な解答。

その時の

(へえー!)

を、味わいたくて今日も人生相談のページを広げる。



さて、今日は医者にどなられて、次に病院へ行くのが怖くなったという女性の相談。

……

わたしならどう答えるかなー

 

どなられたら、やっぱり次に行くのをためらってしまうよねーと、まず相談者の気持ちを考える。

病院の先生もさまざま。状況を理解できるように丁寧に説明をしてくれる先生。何度聞いても結論が分かりにくい先生。無愛想な先生。

じぶんの経験から、いろんな先生を思い浮かべてみるけど、この相談者のような経験はしたことないなー。医者は一体何に腹をたてたのだろう?

 

(どう答えるのだろう)

 

人間の感情は伝播するとまず説明があった。激しい怒りをぶつけられたら、その感情に巻き込まれることがあると…

 

もしかしたら医者が怒鳴る前に、その患者さん自身が激しい感情を医者にぶつけていたのかも知れない。恐れていた病名を告げられるかもしれないという恐怖だけでなく、検査に対する恐怖、検査による痛みや不安。自分で受け止めることができないことをそのまま医者にぶつけていたとしたら…



状況を伝えるのを遠慮したりためらったりせずに、そして感情的にならずに伝えるようにという解答だった。

 

なぜそういうことになったのだろう?と自分の行動を冷静に振り返ってみることが大事だったのね。

 

(なるほど…!)

 

それにしても、今日は解答される先生から垣間見える葛藤も感じて、少し胸が痛い。努めて冷静にことばを選ばれているような気がした。感情をぶつけられて、つらい思いをされることが日常であるのかも知れない。

 

ひとに何かを伝えようとするとき、いろんな表現の仕方がある。ことばの選び方ひとつであたたかい気持ちになったり、ささくれ立つような思いにさせたり。

 

メールなどで何かを伝えるとき、いつまでもそこに存在していることばに戸惑うことがある。時間が流れ、思いが変わっても伝えた文字がそこに残っているから。

ことばで伝えればその場限りでことばは消えていく。消えたけれど…放たれたことばはもう取り戻せない。

 

たかが日常のさりげないことばやしぐさに、じぶんの生き方が問われることもあるかもしれない…

 

今日の人生相談で、そんなことまで考えました。

 

※ 伝播(でんぱ)→ 伝わり広がっていくこと。広い範囲に伝わること。特に波動が広がっていくこと。

(こういうことばがあるのを、初めて知りました)