歌手の氷川きよしさんが、芸能活動を今年いっぱいで休むというニュースをみた。
（えっ！）
（そうなの…かー…）
わたしは、熱狂的なファンではない。テレビに出演していれば聞くけど
「きよし！きよし！」
と、声を上げることもないし、ましてやコンサートに行ったこともない。
しかし！である。
実は、ものすごく好きなのだ。
何がかというと、氷川きよしの歌う演歌が。
力強いこぶしまわし。あんなにこぶしが利いているのに、自然で伸びのある声。
魂を揺さぶられるように聞き入ってしまう氷川きよしの演歌の世界。
ニュースをみたせいで、久しぶりにユーチューブで
「きよしのズンドコ節」
を聞いてみた。思わず腰を左右に動かしたくなるような、軽快な歌に笑顔が出る。
更に
「白雲の城」
胸がきりきりするような切なさに、天守閣を探し求めるように見上げてしまう。
「箱根八里の半次郎」
も、すごくいい。せりふが泣かせる。旅芝居をみているかのよう。
氷川きよしの演歌だったら、ずっと聞いていたい。
だから、ここ何年かの変化していく姿には、少し複雑な思いをしていた。
演歌の世界からは遠ざかるのかな…
自分らしく生きたいというのは、当たり前のことだ。
そのために必死でもがいて、自分らしさをつかむ人。どんなにがんばっても叶わなかった人。その思いにさえ気がつかない人！
たくさんの人が、いろんなものを抱えて生きている。
若い頃、親しい友人に言われたことがある。
「あなたはずっと、自分の思う通りに進もうと必死だよ」
気が弱くて、言いたいことも言えずに飲み込んで、つまらない人間だと思っていたわたしに友人がさらりと言った。
長い間頑張ってきて、いろんなことを考えて、自分らしく生きたいと思ったんだね。
それが今、自分を休ませてあげることなんだ…
いつかまた戻ってきたら、ロックやポップスや、それから挑戦したいいろんなことと共に、あの力強いこぶしが利いた演歌も聞かせて欲しいな。
