森野きりりの漂流日記

容姿もダメ頭もよくない、おまけに性格も悪いと自分を否定することしかしなかった女の子が、人生の荒波の中で「いやいや何も取り柄がなくても大丈夫さー」ということに気が付いていく長い長いお話です

魂のさけび

 

(あっという間に一週間たってる!…)

……

一週間前、テレビでクイーンの映画があったのだ。



いつものことだけど

夕食を食べたあと、いつの間にか寝込んでしまった。

 

フッと目が覚めてテレビを見ると、フレディ・マーキュリーが歌ってる!

(!!!)

 

(そうだった!)

クイーンの映画があるんだった。

(絶対見るよ!)

と思っていたのに、すっかり忘れてた。

 

映画はもう終盤に入っていて、ライブエイドに出演することになる…そのあたり。

小さな画面で見る映画は、感動というより筋書きを追っている感じ。

 

映画館の大きなスクリーンで躍動するフレディ・マーキュリーを思い出しながら、テレビをじっと見つめる。

「この感動を誰かと分かち合いたい!」

珍しくそんなことを思ったんだった。

 

映画を誰かと一緒に見に行くことはない。ひとりの世界に入り込んで思いっきり感情を移入したいから、隣に誰かがいると気が散るのだ。ところが、今回に限って

「よかったね!感動したね!」

と隣を向いて叫びたい自分に驚いた。

そのくらい感動のステージを再現した映画だった。

 

5年前に映画を見に行ったときは、

(クイーンの歌を大画面を見ながら聞くのもいいかもー…)

ぐらいの軽い気持ちだった。

 

始まってすぐフレディ・マーキュリーを演じる俳優の前歯が気になって、顔ばかり目で追っていた。まだ何者でもない時代。

……

(退屈な映画かも…)

だけど、そうではなかった!

 

終わってしまって暗くなっていく会場で、ぼーっと余韻に浸った…

ドラマチックで魂のさけびのようなフレディの歌は、時どき思い出したように聞いていた。

その歌の数々にたくさんのドラマがあったんだ。

 

家に戻ると、本棚を引っ掻き回してクイーンのCDを探すとBOSEにセットした。

何度も何度も繰り返し聞いて映画館での感動を反芻した…



テレビの中のフレディ・マーキュリーを見て、その時のことを思い出した。

映画館で上映されたら、もう一度見に行きたいとしみじみ思った。