森野きりりの漂流日記

容姿もダメ頭もよくない、おまけに性格も悪いと自分を否定することしかしなかった女の子が、人生の荒波の中で「いやいや何も取り柄がなくても大丈夫さー」ということに気が付いていく長い長いお話です

働けるしあわせ

 

仕事で一番長く続いたのは三十代後半に出会った会社。

二十五年間続いた。

六十代になり、なんだかんだとひと区切り。

 

体も頭の中もまだまだ元気。やる気も十分。

次の仕事は簡単に見つかるとたかをくくっていた。

ところが…

(あれー?思っていたほど甘くない!)

不採用の通知が次々に届く事態に、わたしはあわてた。

 

キャリアを売りにするほどの能力はない。押しの強さもない。

それよりなにより、六十代の事務員を求める企業があるのか…

(ないな…)

ということにやっと気がついたわたしは、

(どうしようか…)

 

だったら

六十代でも雇ってくれる職種に路線変更!

意識を変えたわたしの前に面白いように仕事が転がってきた。

もうこれからは、ながーく続けようとか思わないで楽しんでいこう!

というわけで、その後は転職を繰り返した。

長く続くのがわたしの取り柄だったけど、歳を取ると堪え性(こらえしょう)が、賞味期限のようにきれてしまうのか!?

大体二年。それより長いこともあったけど、二年経つとなんだかんだと理由をつけて次の仕事を探した。

そして、新しい仕事に就くたび

(わたしの天職だ!)

と、燃えた。

 

(辞めるかな…)

こころに浮かんだら自分自身に問いかける。

辞める理由に納得できたら、そのための準備を始める。

仕事を引き継ぐ人が困らないように黙々と段取りをする。

そうやっていくつもの仕事をさせてもらった。

 

今働いている職場では、よく昭和歌謡の番組が流れる。

山本譲二の『みちのくひとり旅

(お前が俺には最後のおんなー)

それを聞くとね、わたしもあたまの中で歌うのよ。

(ここがわたしの最後の職場ー)

 

そうはならないかも…

いやいや、最後の職場かも…