日曜日の夜9時からはドラマ『日本沈没ー希望のひと』を見ている。
日本では近い将来大地震が起こるかもしれないといわれている。
実は始まる前は、こんな暗くて重い内容のドラマを誰が見るんだろう…と思っていた。
いざ始まるまで、
(見ようかな…やめとこうかな…)
と、迷っていた。
結局、見ている。
内容については、いろんな意見があるんだろうけど、大きな地震が起こるかもしれないと大勢の人が不安を抱えている中で、現実の世界をどこまで織り込んでいくか、それを更に掘り下げることが、短い時間枠の中で果たしてできるだろうかと思ってしまう。
で、つい真剣に画面に見入ってしまう。
気を取り直して、出演している俳優さんに注目する。
小栗旬は顔が好み。その上声が好き。嫌いになる理由が見つからない。
仲村トオルは若い頃の不器用で朴訥なイメージのまま歳をとった感じで、役ともダブって見守ってあげたくなる。
香川照之は言うことない。俳優だけでなく、歌舞伎役者であり、カマキリ先生の顔も持っている。あの怪演ぶりは誰もが認めるところ。
松山ケンイチはこれまで特に興味なかったのだけど、役柄ってすごいね。なんか頼もしく思えてきた。
で、みんなで日本のことを真剣に話し合っている姿を見て、わたしも会議に参加しているつもりで一緒に考えようという感じで見ている。
『日本沈没』はわたしが若い頃、大ベストセラーになった小松左京の本だ。
映画にもなった。若くてかっこいい藤岡弘とふっくらして美人さんのいしだあゆみが出ていた。田所博士は小林桂樹だった。
離れ離れになって、列車の窓から遠くを見つめているいしだあゆみの顔が哀しい。
そのころ、大学の地震学教室でアルバイトしていたわたしはもちろんすぐに本を買って読んだし、映画も見に行った。研究室の教授に
「本当にあのようなことが起きますか?」
と、真剣な顔で聞いた。
教授は笑って否定されたように憶えている。
あれから五十年経った。今、巷では…
映画やテレビドラマの中だけの話でありますようにと、願ってやまない…