森野きりりの漂流日記

容姿もダメ頭もよくない、おまけに性格も悪いと自分を否定することしかしなかった女の子が、人生の荒波の中で「いやいや何も取り柄がなくても大丈夫さー」ということに気が付いていく長い長いお話です

春が来てた!!

 

 

今日はなんだかとても疲れた。

仕事はいつもにくらべて楽だった。

なのに…

 

駐車場をとぼとぼ歩いて車まで行った。

運転席に座って

(さてと…)

 

さてと…って考えなきゃいけないことがあったわけじゃない。

と、いう事に気がついて仕方なくエンジンをかけた。

いつもと逆の出口に向かった。

 

!!!

視線の先が真っ黄色!

菜の花畑がひろがっていた!

車を降りて黄色の畑まで駆けた。

 

 

畑の中で

じっと春を感じた。

自然の逞しさにことばを失うね…

災害に苦しみ続ける人びとがいても世界は不穏でも

”そんなの関係ない”

 

こんなことしてていいのか…

こんなことしかできない…

そんな狭間(はざま)で今日も揺れながら生きつづける

医学の進歩 Part2

 

頭が重い…

ティッシュペーパーに手を伸ばすと勢いよく鼻をかんだ。

読みかけの本に視線を戻す。

それから何秒もしないうちに、また手を伸ばした…

 

屑かごがティッシュペーパーで溢れている…

どうやら無意識に鼻をかみ続けていたらしい。

 

最近二、三ページも読むとすぐに本を閉じてしまう。

(歳をとったから集中力が続かない…)

と思い込んでいたけど…

そうなのか?

 

鼻かみはだんだん激しくなり、頭が重いのは一日中になり、屑かごはいつもティッシュペーパーであふれている。

 

この情景…って

記憶にあるぞ…



1983年(ころだった…)

何か変…

身体中の水分が鼻に大集結したように、かんでもかんでも湧いてくる鼻水。

市立病院の耳鼻科に駆け込んだ。

蓄膿症と言われて驚いているわたしに、更に

「手術しますか?」

「手術したら完全に治りますか?」

「再発しないとは断言できませんが…」

(再発するかもしれないのに、そんなこわい手術しないわ…)

「いやです。手術はしません!」

 

それから怒涛の治療!

土曜日も日曜日も処置できるように計らってもらって、来る日も来る日も病院通い。

車の免許はまだ持ってなかったので自転車をとばして通った。

「あなたみたいな患者も珍しい!」

半年ほどたってきれいな鼻になったわたしに、担当の先生が笑いながら言った。

 

今わたしの体に起こっているのは、まさにあのときの症状だ。

また病院通いをしないといけないのか…

(はぁ…)

 

耳鼻科にネット予約して行ってみた。

診察はほんの何秒か。

パソコンの画面を見つめたまま

「薬出しときますから、一週間後もう一度診せて」

(それだけ?…)

 

一週間薬を飲んだら…

治った!

 

今の時代、せっせせっせと通わなくても蓄膿症は治るのか!

またもや医学の進歩を実感した瞬間!だった。

(大げさか!)

医学の進歩

 

営業さんがくれたショートケーキを隠してロッカー室に急いだ…

一つ年上の先輩と顔を見合わせ、笑顔で大口をあけた。

 

次の瞬間!!

……

あれ!口が動かない…

ケーキを握りしめ、涙目で先輩を見つめた…

 

1971年 顎(あご)が外れた。。。

 

それからというもの、あの恐怖の瞬間が訪れないように

気をつけながら生きてきた。

 

だのに…

だのに…

三十数年後、またも…口が開かなくなった。

 

紹介状を手に歯科大学病院を訪れたわたしは、顎の骨を削るために入院した。

手術後、耳の横にはカメラを入れるための穴と顎の骨を削るための穴が右左4つ開いていた。時間が経つと4つの黒い穴は、黒いシミになりそのうちに自然に消えていった。

「初めて顎が外れた時にこの手術をしてもらえばよかった」

主治医に言うと

「いや、その頃はこんな手術は出来なかった」

(ほぉぉー…)

……

医学の進歩にしみじみ感謝した。

 

 

その手術をしてから二十年ちかく経っている。

医学は更に進歩していることだろう…

寒椿(かんつばき)

 

朝、外に出てみると空気が冷たい!

(さすがに2月は寒いわ…)

車のフロントガラスは霜で真っ白。

 

……と、思いきや昼間の暖かさは朝とは一変。

上着を脱いでも汗ばみそう。

寒い朝の椿を撮ったつもりが、なんだか生ぬるい椿に見えてきた。

 

 

 

ぼんやり眺めるわたしの想いをよそに、花や木や鳥たちは暑かろうが寒かろうが与えられた役割を淡々とこなしているようにみえる。

 

 

十年以上、ただ緑の葉っぱだけだったシンビジュームが突然咲いた!

……

いったい何に発奮したんだろう…

空でも眺めて、幸雲街道をキョロキョロ探してみな…

ってことかな。

 

 

漆黒の闇だった朝六時も、うすぼんやり明るくなってきたことだし…

謎のリングの正体…

 

朝六時、玄関のドアを開けた息子が振り返って

「どうする?」

と聞いた。

肩越しに外を覗くと、静かな雨が降っていた。

静かでしっかりとした雨。

 

「歩こう!」

いろいろ考えずに結論を先に言った。

 

というわけで傘を片手にウォーキングに出た。

朝六時の空は明るくはないけど、季節が移っているのは感じる。

今日は雨のせいで漆黒の空が逆戻り。

その中を黙々と歩く。



元気を装ってるけどきついことが増えるばかり。(年相応…)

雨の日の神社の階段を転ばずに登り切る自信がない。

神社とは逆の道を気が向くまま黙々と歩いた。

 

いつもの道じゃないので、距離感がつかめない。

(思ったより歩き過ぎたかも…)

(ちょっと疲れた…)

 

ようやく家のそばまで帰ってきた。

橋を渡れば我が家はすぐそこ。

そのとき

”ガシガシ”

”ギーギー”

(何の音?)

何だか分からない音がする。

暗がりの橋の真ん中にしゃがみこんでいる黒い人影!

一心不乱に地面に文字を書いていた。

 

(もしや!)

(こ、これは…あのリングを書いたひとじゃないか…)

橋を渡り切って角を曲がったところで息子と顔を見合わせた。

「見つけたね!」

 

放置されたワンちゃんのウンチを丸く囲んで

「マナー違反」

「僕を家に連れて帰って!」

の文字。

(そうだ!そうだ!)

と共感したのは何年前だったか…

誰がしているんだろう…と長いこと謎だったリングの主は見知らぬ人だった。

 

今日のメッセージは

「誰だ!」

「マナー違反」

その中心に大きなウンチ。

 

今の時代はワンちゃんも家族と同じように家の中で過ごして可愛がっているのに、なぜウンチだけは道端に放置して帰るんだろう…。

不思議な話。

クリスマスローズ

 

畑でほうれん草を収穫していると、視線の先に何やら白いものが…

葉っぱをかき分けてみると

クリスマスローズ!!

が咲いていた!

 

花も野菜も旬がいつかわからないわたしは

(今ってクリスマスローズが咲く季節なのか…)

見つめたまま考える。

 

勇み足だったり、落ち込んでいたり、たくさんのシーンで姉と妹と一緒に生きてきた。

五年前に姉が旅立ったあとマンションに残されたクリスマスローズを持ち帰り庭に植えた。どうやって増えていくのか分からないけど、あちらの隅にもこちらの隅にも葉っぱが見える。そして、思わぬ時期に突然真っ白な花を咲かせてわたしを驚かすのだ。

(単純にわたしが季節を知らないだけなんだけど…)

 

 

高齢になった親の死は、悲しみというよりも

(仕方ないね…)

と、受け入れた。

一緒に育ったきょうだいの死はどうやって諦めがつくのだろう…

思いもかけず目にしたクリスマスローズに姉を想う。

 

 

祈り

 

日本中に雪が舞っている。

わたしが住んでいる町も、能登も…

 

天気予報で雪だと言ってたけど、こんなに降るとは思ってなかった。

せめて春が来るまで石川に新潟に…雪や雨が降りませんように…

テレビを見つめて祈ることくらいしかできない。



(いや…募金があった…)

日常を大切に守りながら

できることをしよう!